コラム
公開 2021.07.06 更新 2023.02.02

薬機法(旧薬事法)とは?概要や広告規制を弁護士がわかりやすく解説

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薬機法(正式名称:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律、旧薬事法)は、医薬品などの製造や流通などについて定めた法律です。
薬機法には広告規制もあり、広告規制は製造者のみではなくすべての人が該当します。実際に、広告を請け負ったアフェリエイターが逮捕される事件も起きました。
近年の薬機法違反を振り返りながら薬機法について解説し、注意点も紹介します。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
一橋大学法学部法律学科卒業。元裁判官。企業法務、M&A、労働法、事業承継、倒産法(事業再生含む)等、企業に係わる幅広い分野を中心とした法律問題に取り組む。弁護士としてだけでなく、裁判官としてこれまで携わった数多くの案件実績や、中小企業のみならず、大企業や公的企業からの依頼を受けた経験と実績を活かし、企業組織の課題を解決する多面的かつ実践的なアドバイスを提供している。
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薬機法(旧薬事法)とは

薬機法は、旧薬事法のことを指し、医薬品などの製造や流通などについて定め、これらの安全性を確保し、保健衛生の向上を図ること目的とした法律です。※1
医薬品を製造しないからといって、薬機法と無縁というわけではありません。

近年では、医薬品製造企業以外でも、薬機法に違反したとして摘発される事例が散見されます。
思わぬ違反となってしまわないためにも、医薬品業界に携わる人はもちろん、その他の業界の人も、薬機法の概要は知っておくべきでしょう。

薬機法は、その正式名称を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」といいます。
以前は「薬事法」でしたが、2014年の改正に際して、その名称も変わりました。

薬機法とは、その名称のとおり、医薬品や医療機器などの品質や有効性、安全性の確保について定めた法律です。
そのため、医薬品などの「開発・治験」、「承認審査」、「製造」、「流通」、「使用」の各段階で必要な規制を行っています。

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薬機法の目的

薬機法の最大の目的は、保健衛生の向上です。
保健衛生とは、簡単にいうと、人の健康を保つことです。

そのため、医薬品などについての品質や有効性、安全性の確保や、危害発生や拡大の予防についての規制をしています。
これらは、薬機法の1条に明記されていますので、まずはこれをしっかりと理解しておきましょう。

(目的)第一条
この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品(以下「医薬品等」という。)の品質、有効性及び安全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止のために必要な規制を行うとともに、指定薬物の規制に関する措置を講ずるほか、医療上特にその必要性が高い医薬品、医療機器及び再生医療等製品の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることを目的とする。

文章が長くて分かりにくいと思いますが、①医薬品等を安全に使用できるために必要な規制を行うこと、②指定薬物(危険ドラッグに含まれる成分等)の規制を行うこと、③医薬品等の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることによって、保健衛生の向上を図るという法律になっております。

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薬機法の対象と定義

薬機法では、「医薬品」のほか「医薬部外品」、「化粧品」、「医療機器」、「再生医療等製品」が規制対象となっています。
これらがそれぞれ何を指すのかを正しく理解しておくことが、薬機法において非常に重要です。
ここでは、薬機法におけるそれぞれの定義や具体例を見ていきましょう。

薬機法の医薬品

薬機法における医薬品は、次のように定められています。

(第2条1項)
一 日本薬局方に収められている物
二 人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であつて、機械器具等(機械器具、歯科材料、医療用品、衛生用品並びにプログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下同じ。)及びこれを記録した記録媒体をいう。以下同じ。)でないもの(医薬部外品及び再生医療等製品を除く。)
三 人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であつて、機械器具等でないもの(医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品を除く。)

日本薬局方とは、厚生労働大臣が定める医薬品の規格基準書のことで、初版は明治19年に公布され、以後改訂が重ねられています。
そして、人や動物の疾病の治療や予防に使用されるものや、人や動物の身体機能へ影響を及ぼす効果を目的としたもので、機械器具でないものは、原則として医薬品に該当します。
しかし、これらに該当するものであっても、後述する医薬部外品や再生医療等製品に該当するのであれば、ここでいう医薬品には当たりません。
具体的には、医療用医薬品や市販薬(要指導医薬品、一般用医薬品(第1類~第3類医薬品))、体外診断用医薬品(例:血液学的検査薬など)が医薬品に当たります。

薬機法の医薬部外品

薬機法における医薬部外品は、次のように定められています。

(第2条2項)
2 この法律で「医薬部外品」とは、次に掲げる物であつて人体に対する作用が緩和なものをいう。
一 次のイからハまでに掲げる目的のために使用される物(これらの使用目的のほかに、併せて前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物を除く。)であつて機械器具等でないもの
イ 吐きけその他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止
ロ あせも、ただれ等の防止
ハ 脱毛の防止、育毛又は除毛
二 人又は動物の保健のためにするねずみ、はえ、蚊、のみその他これらに類する生物の防除の目的のために使用される物(この使用目的のほかに、併せて前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物を除く。)であつて機械器具等でないもの
三 前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物(前二号に掲げる物を除く。)のうち、厚生労働大臣が指定するもの

つまり、医薬部外品とは、吐き気等の不快感や口臭、体臭、あせも、ただれの防止や、脱毛の防止や育毛、除毛等を目的に使用されるもので人体への作用が緩和なものや、ねずみなどの駆除剤などを指します。
代表的な例としては、酔い止めの薬、うがい薬、殺虫剤、育毛剤、栄養ドリンクなどです。

薬機法の化粧品

薬機法における化粧品は、次のように定められています。

(第2条3項)
3 この法律で「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。ただし、これらの使用目的のほかに、第一項第二号又は第三号に規定する用途に使用されることも併せて目的とされている物及び医薬部外品を除く。

一般的な化粧品やシャンプー、スキンケア用品などが、これに当たります。

薬機法の医療機器

薬機法における医療機器は、次のように定められています。

(第2条4項)
4 この法律で「医療機器」とは、人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等(再生医療等製品を除く。)であつて、政令で定めるものをいう。

具体的には、ペースメーカー、人工関節、超音波画像診断装置などがこれに該当します。

薬機法の再生医療等製品

最後に、再生医療等製品は、次のように定められています。

(第2条9項)
9 この法律で「再生医療等製品」とは、次に掲げる物(医薬部外品及び化粧品を除く。)であつて、政令で定めるものをいう。
一 次に掲げる医療又は獣医療に使用されることが目的とされている物のうち、人又は動物の細胞に培養その他の加工を施したもの
イ 人又は動物の身体の構造又は機能の再建、修復又は形成
ロ 人又は動物の疾病の治療又は予防
二 人又は動物の疾病の治療に使用されることが目的とされている物のうち、人又は動物の細胞に導入され、これらの体内で発現する遺伝子を含有させたもの

具体的には、テレビなどで目にされたことがある方も多いと思いますが、「iPS細胞」から作られた心筋の細胞シートなどに使われる細胞加工製品や、遺伝子治療用製品がこれに該当します。

2021年の薬機法改正の概要

2019年に成立した薬機法改正のうち、課徴金制度の導入に関する部分が、2021年8月に施行されました。
課徴金とは、行政庁が違反事業者などから徴収する金銭のことです。※2
では、具体的に解説していきましょう。

課徴金制度導入の経緯と目的

薬機法違反の抑止力として大きな効力を発揮している制度の一つは、行政処分です。
たとえば、医薬品販売業の許可を得た者が違法行為をした場合などには、許可を取り消したり、一定期間の業務停止を命じたりすることができるとされています(同法75条)。
許可の取り消しや業務停止命令を受ければ、経営の根幹を揺るがす事態となりかねず、非常に重い措置であるといえるでしょう。
そのため、事業者にとって、これが違法行為の大きな抑止力になっています。
しかし、薬機法に違反する広告を行う事業者の中には、そもそも薬機法上の許認可を受けていない事業者が少なくありません。
つまり、許可の取り消しなどによっては、抑止効果が働かないということです。
そこで新たに、課徴金制度が導入されました。
課徴金制度では、違法に得た利益を行政的に剥奪することのほか、違法行為の抑止を主な目的としています。

課徴金制度の対象

今回新たに導入された課徴金制度の対象(同法75条の5の2、66条)となるのは、薬機法66条に規定する次の規定に違反した場合です。

何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。

つまり、医薬品などに関する虚偽広告や誇大広告をした場合に、課徴金制度の対象になるということです。

なお、この条文は、冒頭が「何人も」となっている点に注意しなければなりません。
つまり、許可を得た販売業者のみならず、文字どおり「誰であっても」、この誇大広告などをした場合には課徴金制度の対象になるということです。

ただし、業務改善命令を発した場合や、許可の取り消しや業務停止命令を発出した場合など、他の行政処分が機能している場合には、課徴金の納付を命じないことができるとされています。
これは、先ほど解説した課徴金制度導入の目的や導入経緯に鑑みて、許可業者への処分が過重とならないよう配慮したものであるといえるでしょう。

課徴金の計算方法

虚偽広告や誇大広告をした場合における課徴金の計算方法は、原則として次のとおりです(同法75条の5の2)。

  • 課徴金額=違反を行っていた期間中における対象商品の売上額 ×4.5%

なお、課徴金額が225万円(対象品目の売上額5,000万円)未満の場合には、課徴金納付命令は出せないことになっています。

薬機法を知っておくべき理由

「薬機法」と聞くと、医薬品の製造販売をする事業者のみが知っておけばよいと感じるかもしれません。
自分には無縁の法律であると考えている人も少なくないことでしょう。

しかし、薬機法については、すべての事業者が概要だけでも知っておくべき法律の一つであるといえます。
なぜなら、薬機法を知らなければ、うっかり薬機法に抵触してしまう可能性があるためです。

特に、次で解説をする広告規制は、規制対象者が「何人も」とされており、特に注意しなければなりません。

この広告規制は、いわゆるアフェリエイト広告や記事広告も対象です。
実際に、薬機法違反でアフェリエイターが逮捕される事件も起きています。

薬機法の広告規制とは

薬機法には、広告についての規制も存在します。
医薬品などについては、その広告で製品情報が正確に伝えられなければその適正な使用を誤らせるおそれがあるほか、適正な医療の機会を逸す結果ともなりかねず、その弊害が重大であることから、広告規制により適正使用の確保を図っているのです。
では、薬機法の広告規制について、具体的に見ていきましょう。

薬機法で禁止されている広告

薬機法で禁止されている広告には、次のようなものがあります。

虚偽・誇大広告の禁止

薬機法66条では、医薬品などの名称、製造方法、効能・効果、性能に関して、虚偽・誇大な記事の広告・記述・流布を禁止しています。
そして、この規制の主語は「何人も」となっています。
そのため、医薬品などの製造企業ではなかったとしてもこの規制の対象となり得る点に注意が必要です。

広告を請け負う場合や、いわゆるアフェリエイトなどで記事広告を掲載する際にも、この規制に十分注意しましょう。
特に重要な規制のため、こちらは条文も掲載します。

(第66条)
何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。
2 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することは、前項に該当するものとする。
3 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品に関して堕胎を暗示し、又はわいせつにわたる文書又は図画を用いてはならない。

特定疾病用医薬品等の広告の制限

薬機法67条では、医師などの指導下で使用されるべき、がんなどの特定疾病用の医薬品などに関して、医薬関係者以外の一般人を対象とする広告を、政令などで制限することができるとしています。

未承認医薬品等の広告の禁止

薬機法68条では、未承認である医薬品などの名称や製造方法、効能・効果、性能に関する広告を禁止しています。
未承認の医薬品などの流通を、広告の面からも規制しているのです。

適正広告基準

薬機法の広告につき、より具体的な基準として、平成29年9月29日薬生発0929第4号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知にて、「適正広告基準」が定められています。※1
ここでは、例えば下記のような広告が禁止されていますので、広告を行う際にはこちらも良く確認し、禁止事項に該当してしまっていないか注意しましょう。

  • 効能効果等、用法用量等について、承認範囲を超える表現、事実誤認のおそれのある表現の禁止
  • 効能効果等又は安全性について保証する表現、最大級の表現等の禁止
  • 本来の効能効果等と認められない又は誤認のおそれのある表現の禁止
  • 医薬品等の過量消費又は乱用助長を促す表現の禁止
  • 医薬関係者以外の一般人向けの医療用医薬品等の広告の禁止

広告の該当性

例えば、テレビコマーシャルや新聞広告、折り込みチラシなどは、「広告」と認識しやすいかと思います。※3
では、例えばブログ記事で商品を紹介するアフェリエイト広告などは、薬機法にいう広告に当たるのでしょうか?
このような疑問に対応するため、平成10年9月29日医薬監第148号厚生省医薬安全局監視指導課長通知により、広告の該当性が定められています。
これにより、下記のすべてに該当する場合には、広告に該当することとされました。

  • 顧客を誘引する(顧客の 購入意欲を昂進させる)意図が明確であること
  • 特定医薬品等の商品名が明らかにされていること
  • 一般人が認知できる状態であること

つまり、これらに該当するのであれば、いわゆるアフェリエイト広告や記事広告も、薬機法の規制対象となるわけです。

薬機法と景表法の違い

さて、広告について規制している法律には、ここまでで見てきた薬機法の他、景表法(正式名称は、不当景品類及び不当表示防止法といいます。)も存在します。
ここでは、それぞれの違いのうち主なものにつき、簡単に見ていきましょう。

目的

まず、薬機法と景表法では、規制の目的が異なります。
前述のとおり、薬機法の広告規制は医薬品などの適正な使用を誤らせたり、適正な医療の機会を逸失する結果となったりしないためのものです。
一方、景表法の規制目的は、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為を制限することにより、一般消費者の利益を保護することにあります。

対象商品

薬機法と景表法とでは、まず、その規制対象となる商品が異なります。
景表法の規制対象があらゆる商品であることに対し、薬機法の広告規制の対象は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品のみです。

規制の対象者

前述の通り、薬機法の規制対象は「何人も」とされています。
そのため、その医薬品などの製造者のみではなく、広告をした者すべてが対象です。
一方、景表法の規制対象は、商品又は役務の取引を供給する事業者のみとされています。
この点も、大きな違いといえるでしょう。

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薬機法の違反事例~広告規制~

ここからは、実際の薬機法違反事例を紹介していきましょう。
まずは、広告規制の違反として2例紹介します。

ステラ漢方株式会社

ステラ漢方事件とは、2020年7月、薬機法違反(未承認医薬品の広告)容疑で、健康食品販売会社「ステラ漢方」の広告担当の従業員の男性と、広告代理店など3社の役員ら男女6人が逮捕された事件です。※4
この事件では、医薬品として承認されていないステラ社のサプリメント「肝パワーEプラス」について、記事形式のインターネット広告で「肝臓疾患の予防などに効能効果がある」などと効能効果を宣伝したことが、薬機法違反とされました。
広告代理店は、記事の中で「ズタボロだった肝臓が半年で復活…?!」などとする記事形式の広告をネット上に掲載し、ステラ漢方株式会社のサイトへと遷移させていたとされています。
いわゆるアフェリエイターが薬機法違反で逮捕され、注目された事件です。

株式会社Gunosy虚偽広告

株式会社Gunosy虚偽広告事件とは、ニュースサイト「グノシー」を運営する株式会社Gunosyの完全子会社の株式会社digwellが化粧品などで虚偽の広告を制作、配信をしたことについて薬機法違反があったとして、株式会社Gunosyに再発防止を求める行政指導がなされた事件です。※5※6
株式会社digwellは、化粧品や育毛剤などについて「シミが消えた」などの架空の口コミを掲載したり、関係のない人の写真を使ったりした虚偽の広告を配信していました。
多くのユーザーを抱えるグノシーの子会社が違法な広告を制作していたことにつき、注目された事件です。

薬機法の違反事例~広告規制以外~

薬機法の違反事例として、広告規制以外のものを3例紹介しましょう。
特に、2つ目に紹介する「うがい薬の転売」は、医薬品メーカーではない一般個人がおそらく知識不足から違反行為を行ってしまった事例なので、広く注意が必要です。

健康食品からメラトニン検出

これは、睡眠導入などを目的とした健康食品であるグミから、入眠改善剤に含有される医薬品成分である「メラトニン」が検出された事件です。※7※8
メラトニンは、国内では専ら医薬品として使用される原材料であるため、食品への含有は認められていません。

うがい薬の転売

医薬品に該当するうがい薬が、オークションやフリマアプリなどで販売されていた問題です。※9
これを受け、厚生労働省が各都道府県の薬務課に対し、医薬品の販売業の許可なく販売しないよう改めて監視指導の徹底を求めました。
転売が問題となったポビドンヨードうがい薬は第3類医薬品に該当し、これを医薬品の販売業許可なく販売することは、薬機法第24条第1項に違反します。
医師から処方されたものはもちろんのこと、薬局で手軽に購入できるものであっても、その物品によっては転売が薬機法違反となり得るため十分注意が必要です。

製造番号を消して化粧品を転売

正規品である化粧水の製造番号などを消し、正規品より数百円安い値段によりフリマアプリで販売し、女性が逮捕された事例です。
この事例において、逮捕された女性は1万7,000円の収入を得ていました。
得た収入が決して大きな額ではなかったとしても逮捕される可能性があるという点で、注意すべき事例であるといえるでしょう。

女性はこの化粧水を定価より安く仕入れることで利益を得ていたとのことで、仕入先について調査がされているようです。

薬機法違反に該当する事例

厚生労働省では、薬機法の規定に違反した事例を公表しています。
こちらに掲載されている疑義報告事例は、次のとおりです。※10

なお、これらはあくまでも疑義が報告されているのみであり、処分が下った事例ではありません。
しかし、このような表現が問題視されることを知っておくとよいでしょう。

エビデンスのない説明を行った事例

腎性貧血治療薬について、実際の臨床試験では血栓塞栓症が少ないという事実は得られなかったにもかかわらず、競合他剤と比較して血栓塞栓症リスクが低いと捉えられるような説明を行った事例です。

他社製品の誹謗及びそれに類する説明を行った事例

片頭痛予防薬に関する製薬企業へのオンラインヒアリングの際に、企業担当者から、「他社製品Aは初回倍量投与しなければいけない」、「他社商品Bは便秘が多い」など、他社製品を誹謗し自社製品の優位性を訴える説明がされた事例です。

有効性のみを強調した事例

心不全治療薬に関するオンライン説明会で、主要評価項目において有意差が示された海外第三相試験結果のみを説明した一方で、有意差を示せなかった国内第三相試験結果についてはまったく説明をせず、結果的に有効性を強調した事例です。

誇大な表現を用いた事例

糖尿病薬については有意差がなかったにもかかわらず、企業担当者が「日本人でもしっかりと差が出ている」などと説明をした事例です。

薬機法に違反するとどうなる?

薬機法に違反をした場合、どのようなペナルティの対象となるのでしょうか?
主なペナルティは次のとおりです。

行政処分の対象となる

薬機法に違反をした場合には、行政処分の対象となる可能性があります。

行政処分とは、行政庁から違反行為を是正するよう命じられたり、許可を受けている場合にその許可の取り消しや業務停止を命じられたりすることなどです。

刑事罰の対象となる

薬機法違反は、刑事罰の対象となる場合もあります。
たとえば、虚偽広告や誇大広告をした場合の罰則は、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金またはこれらの併科です(同法85条4号)。

課徴金の対象となる

先ほど解説したように、医薬品などに関する虚偽広告や誇大広告は、新たに課徴金の対象とされました。

課徴金の割合は、虚偽広告などによって得た利益の4.5%です。
ただし、対象となる売上金額が5,000万円未満である場合には、課徴金が免除されます。

まとめ

薬機法は、医薬品などを製造、販売する企業はもちろんのこと、広告のみを請け負う場合や、いわゆるアフェリエイトを行う場合、そして転売をする場合にまで広く関係する法律です。
特に、広告規制についてはすべての人が正しく理解をした上で、違反をしてしまうことのないよう注意しましょう。

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