覚せい剤事件をはじめとする薬物事犯は、被害者なき犯罪とも呼ばれます。
その意味するところは、弁護方針としては、ご本人自身が真摯に反省し、更生意欲も十分であることを裁判所に伝えることが何より重要だということです。
当事務所では、ご依頼いただいた段階に応じて全力で弁護活動を行います。
①逮捕から勾留請求段階
この72時間の間で、接見できるのは弁護士だけです。覚せい剤使用事件であれば、この間に捜査機関によって、最も有力な証拠である尿が採取されます。尿検査の結果、覚せい剤成分が検出された場合には、使用自体を正面から争うことは難しくなります。したがって、捜査段階での心証をよくするためにも、弁護士が逮捕直後に本人との接見で真実を聞き出した上で、今後の方針を打ち合わせることが重要です。
他方で、覚せい剤所持事件の場合には、所持の認識がなかったことを主張したり、違法な捜査がなされたことを主張したりするなどの弁護活動によって、不起訴処分を獲得することが可能となる場合があります。
②勾留決定から起訴段階
薬物事犯では一般に、尿の鑑定に時間がかかることなどを理由として、勾留期間が長くなりやすい傾向にあります。もちろん捜査に重大な違法がある場合などは、不服申立てをして一刻も早い身柄解放に向けた弁護活動を行いますが、そのような事情のない場合には、起訴後を念頭に置いた弁護活動にも尽力します。
③起訴後段階
起訴後も続く勾留に対しては、直ちに保釈請求を行います。弁護人がついていれば、説得的に保釈請求を行うことで、保釈が認められる場合があります。また、引き続き接見を密に行うことで、検察官の主張に対抗するために必要な打ち合わせを行うことができます。
公判廷においては、少しでも有利な判決を獲得できるよう尽力します。
覚せい剤事件の概要と刑の重さ
覚せい剤取締法は、特別の許可を得ない覚せい剤の使用や所持などを禁止しています。覚せい剤事件の中で、最も多い態様である覚せい剤使用の罪の法定刑は、10年以下の懲役とされています。
また、覚せい剤が高値で取引されていることに鑑み、営利目的で禁止行為を行うと罪が加重されます。営利目的所持罪の法定刑は、1年以上の懲役又は情状により1年以上の懲役及び500万円以下の罰金とされています。
覚せい剤事件で逮捕されたらどうなるか
検察官送致
逮捕された場合、警察で取調べが行われ、最大で48時間身柄が拘束され、検察庁に身柄が送られます。身柄の送致を受けた検察官は、24時間以内に、引き続き身柄を拘束し続ける必要があるかどうかを検討し、引き続き身柄を拘束し続ける必要があると考えた場合には、裁判所の裁判官に勾留請求をします。
勾留決定
勾留請求がなされると裁判所に連れていかれ、裁判官から話を聞かれます。
話を聞いた裁判官は、引き続き身柄を拘束し続ける必要があると判断した場合には、勾留決定をします。勾留決定がされた場合、勾留請求をされた日から10日間身柄を拘束され、その間警察や検察官の取調べを受けます。
勾留延長
勾留されてから10日間経っても、検察官が引き続き身柄を拘束し続ける必要があると考える場合、裁判官に勾留期間の延長を請求します。裁判官が勾留期間を延長する必要があると判断した場合には、最大で更に10日間身柄を拘束されます。
起訴
勾留請求をされた日から10日経ったとき、勾留延長がされた場合には延長期間が満了したときに検察官が起訴するか不起訴をするかを判断します。起訴された場合には、裁判にかけられ、裁判官が有罪だと判断すれば、有罪判決を受け、刑を科されます。
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