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先日、テレビで、都立高校のある校則について都議会で議論になったという話題が報じられていました。
いわゆるツーブロックを禁止する校則について、教育委員会の教育長が、外見等が原因となって事故や事件に遭うケースがあるため、そのようなことから生徒を守る趣旨である旨の説明をした点について、街の声を聞いてみようという番組でした。
「たしかにツーブロックはちょっと怖そうに見えるから禁止というのもわかる」という声もあれば、「あまりにばかげた説明だ」という声もあり、いろいろな受け止め方があるのだなと感じました。
ちょっと話はそれますが、その番組を見ていて、昔、私が中学生のころにも同じような校則があったことを久しぶりに思い出しました。
「最も理想的なのは、肩に届かない長さのショートカット。しかし、髪をのばしたい人は、髪が肩につき次第、髪をひとつかふたつにまとめて結わえ、髪が肩につかないようにすること」というのが私が通っていた中学の校則でした。
私は、当時髪が長かったので、いわゆるポニーテールにし、頭の高い位置で髪をひとつに結わえて登校していたのですが、ある日、職員室に呼ばれて、「ポニーテールは禁止。耳の下あたりの低い位置で結わえるように」と指導を受けたのです。
理由を聞くと、「ポニーテールは派手なイメージだから何かと危険。中学生は、耳の下の位置できちんと結わえること。さらに、それをみつあみにするとより理想的」と指導され、当時は、「そういうものかなあ」と思いながら指導に従った記憶があります。
今回のツーブロック禁止の校則についての教育長の説明を聞いていると、当時私が先生から受けた説明とどこか似ているところがあるように感じます。
みなさんは、今回の校則やこれについての教育長の説明についてどう感じますか?
校則をめぐり裁判になることも
実は、過去に、校則をめぐって裁判になった事例があります。
かなり昔になりますが、たとえば、公立中学校で、男子生徒の髪型を「丸刈り、長髪禁止」(「丸刈りであるべき。長髪にすることは禁止」という趣旨のものだと思います)とされていたことについて、その校則の無効確認や損害賠償請求がされたという事案がありました。
この裁判では、原告側が、このような校則は、憲法が定める法の下の平等や表現の自由などに違反するとか、校長の持つ裁量の範囲を逸脱しているとか主張したのですが、結論としては、憲法違反も認められないし、裁量の範囲を逸脱しているともいえない、と判断されました。
校長の裁量逸脱の有無の判断についてもう少し具体的に言うと、校長には、校則を定める包括的な権能をもっていて、これは無制限なものではないものの、教育目的であるなら、その内容が著しく不合理でない限りは校則が裁量を逸脱して定められたものとして違法にはならない、と説明しています。
つまり、教育目的で定めたものなら、よっぽどおかしな校則でない限り、違法ではないとされているのです。
その上で、丸刈りの校則は、教育目的で制定されたものであるといえるし、その運用を見ても、バリカンで強制的に丸刈りにしてしまうとか内申書に記載するとかを予定していないことなどから著しく不合理であると断定できないと説明しています。
どうして教育目的といえるのか、という詳しい説明を見ていくと、この校則の制定目的が「生徒の非行化を防止すること、中学生らしさを保たせ周囲の人々との人間関係を円滑にすること、質実剛健の気風を養うこと」などにもあることが定められています。
昭和60年の裁判例ですので、今はもう少し違った判断がされるかもしれないなと思いますが、しかし、今回のツーブロック禁止の校則の意図として教育長から説明のあった「事故等に遭うことを防止」というところと通ずる説明であるようにも感じられますよね。
ツーブロックにしても丸刈りにしてもポニーテールにしても、これを校則で禁止するのもしないのも、結論としてはどちらでもいいのかなと私は思います。
ただ、校則が、「その意味なんてどうでもいいから、とにかく守るべきものだ」というものとして存在してしまうのは、無意味であるどころか、学校側が、いろいろな科目を教える中で「答えを覚えるのでなくて、どうしてそうなるかというプロセスを考えるのが大事ですよ」と言っていることと矛盾してしまうような気もしませんか?
もちろん、結果的に、すべてについて、全生徒の意見を反映させた校則を作ることなど不可能ですし、説明や議論を尽くしても、最終的には一定数の生徒に納得を得られないままにルールを作ることが必要な局面もあるのだと思いますが、そこに至る過程を大事にしないと、ルールを設けた目的との関係で機能せず、反発を買ったり、教育姿勢への不信感を抱かれたりしてしまいそうです。
今回の一件をきっかけに、いろいろな学校で、校則についての議論が起きるかもしれませんね。
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