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先日、「ポテサラ論争」という言葉が報じられていました。
みなさん、ご存じですか?
男性が、スーパーで、小さな子ども連れの女性が総菜コーナーのポテトサラダを手にしているのを見て、「母親ならポテトサラダくらい作ったらどうだ」と言ったのを目撃したという女性がそのエピソードをTwitter上に投稿したのをきっかけに、これに対し、いろいろな投稿がされ、ちょっとした話題になっていたそうなのです。
その後、この一件を取り上げているテレビ番組も見ましたが、いろいろな意見があって興味深く感じました。
ポテトサラダは果たして手間がかかる料理なのかどうか、常に作る派か、たまには買うこともある派か、常に買う派か、などもさまざまなのですね。
ちなみに、私についていえば、手間は非常にかかってしまうものの、常に作る派です。
これは、「ポテトサラダは手間をかけて作るべき料理だ!」という信念に基づくものではなく、単に、お惣菜のポテトサラダには、たまに、私の苦手な、からしマヨネーズが使われていることがあるので、やむなく作らざるを得ないんです。
話がそれてしまいましたが、この一件を見て、いろいろ考えさせられることがありましたので、今回は、そのお話をしたいと思います。
「~なら〇〇であるべき」
今回投稿されたような出来事が起きていたとして、やはり、一番気になったのは、ポテトサラダが果たして手間がかかる料理なのか否かではなく、「母親ならポテトサラダくらい作るべき」という発想についてでした。
私は、離婚のご相談を受けたり、ご依頼を受けて、離婚の一方のご当事者の代理人を務めたりする機会が多いのですが、そのような中でも、このような、「~なら〇〇であるべき」という発想に基づく言い分を聞くことがとても多いなと感じます。
たとえば、「母親なら、子どものことを一番に考えるべき」「父親なら、休日は家族をどこかに連れて行くべき」「女性なら、家事ができる範囲で仕事を調整すべき」「男性なら、大きな器で女性の言葉を受け止めるべき」など、その言葉が直接出てくることもあれば、直接的には出てこないけれど、いろいろな言い分を深く掘り下げてみると、こういった発想が隠れていることがあると感じることがあります。
このことが悪いことだとは全く思いません。
ある意味、あって当たり前ですよね。
ただ、思うのは、これは私自身を振り返ってということなのですが、人から、こういった発想に基づく発言をされるととても敏感に反応してしまうのに、自分自身は、人の言動を、無意識のうちに勝手な発想に基づいて判断してしまっていることには案外気付かないものだなということです。
たとえば、私は、人から、「女性なんだから、仕事だ何だといっても、やっぱり最後は家のことが最優先であるべきよね」などと言われると、最優先が仕事か家のことかということはおくとして(そもそも最優先をどれにするか、という発想はありませんが)、そのような見方をされること自体に抵抗を感じます。
でも、一方で、たとえば、身の回りをきれいにしていたり、細かいことに気の付いたりする男性を見て、「男性なのに、細かいところに気付いてすごい」と感じることがあります。
これ自体はネガティブな感情ではないので、自分でも、普段あまり気にも留めていなかったのですが、この一件を見ていろいろ考えていたとき、私のこういった発想のかげには、「男性とは、細かいことは気にしないおおらかなものだ」とか、逆に「女性は身の回りをきれいにしたり、細かいことに気付いたりするのが普通だ」という考えが隠れていたことに気付かされます。
そして、こういったかげに隠れた発想で、別の機会に、相手の言動についてネガティブな判断をしてしまうこともあるのではないかと思います。
このような発想を持つこと自体は仕方のないことなのかもしれませんよね。
ただ、自分の感情が動いたときに、その感情の動きのかげに、自分独自の発想、設定のようなものが隠れていないかな、ということを探ってみるのは面白いなと思います。
たとえば、配偶者の行動を見て、イライラしたり、「こんな人とはやっていけない!」などと感じたときに、「なんでイライラしたのかな」と探っていくと、もしかしたら、その前提として、「~とは〇〇べき」という発想がかくれていて、それをいったん取り除いてみると、少し違った目で相手の行動を見られることもあるかもしれないなと思うからです。
「自分は~だから〇〇べき」という発想で自分を縛り付けてしまっていることがあったとしたら、それを自分で解放すると楽になることもあるかもしれませんよね。
もちろん、家庭で起きるすべての出来事がこういった見方で解決できるとは全く思いません。
でも、私自身、こういうことに意識し始めたら、ちょっとした場面で気持ちを楽にすることができたような気がします。
SNS投稿を見たことがきっかけでいろいろ考えてみると思いがけない気づきがあるなと感じた出来事でした。
そうはいっても、そのようなことでは乗り越えることのできない問題はたくさんあると思います。
自分はいったいどうしたいのか、そのためにどんな一歩を踏み出したらいいのか、ご自身と向き合ってもやっぱり糸口が見えない、というときは、弁護士が一緒に考えます。
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