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少し前になりますが、新型コロナウイルスの感染が拡大する中、これにより特に大きな影響を受ける事業者に対し、事業の継続を下支えし、再起の糧とするためとして、国が、事業全般に広く使える持続化給付金が支給されることになりましたよね。
今回は、この持続化給付金の不正受給問題をとりあげます。
持続化給付金受給のためには条件があり、①新型コロナウイルス感染症の影響により、ひと月の売り上げが前年同月比で50%減少している事業者②2019年以前から事業による事業収入を得ており、今後も事業を継続する意思がある事業者③法人の場合は一定の資本金、従業員数以下である事業者であることが必要です。
つまり、中小企業や個人事業主が支給の対象になっているのがわかりますよね。
このことは、その給付金の額が、中小法人等で200万円、個人事業者等で100万円と大きな金額であることもあり、広く知られているところだと思います。
ところが、この持続化給付金に関し、SNS上で、大学生、専門学生、フリーター、無職のかたなど本来受け取る対象でないかたも、「上手に申請すれば100万円受け取ることができます」などとうたって、申請の代行を勧誘する業者などがあるそうなのです。
報道によれば、その申請代行の手数料として支払いを求められる金額は「30万から50万」、「受給額の4割」などと説明されることがあるとのこと。
仮に100万円受給できることとなったら、手数料としてその半分近くが手数料として差し引かれることとなっても、本来であれば受給資格のない人ですから、高額手数料を払ってでもお金を手にしたいという気持ちにつけこんだものといえるでしょう。
今、このような持続化給付金の受給資格がない人が、申請代行の勧誘を受けたとして、国民生活センターに数多くの相談が集まっているそうなのです。
受給資格がないのに申請代行を依頼して受給したら?
受給資格がないのに、うその内容の確定申告書や帳簿を作成するなどして、受給資格があるように装って、うそを信じさせ、その結果、お金をだましとったら、詐欺罪です。
詐欺罪は、法定刑が10年以下の懲役という重大犯罪です。
そして、うその書類を作ったり、申請書を作成したりなどという実際の手続きをしたのが申請代行業者だとしても、本来受給資格がないのに、申請代行業者に依頼して、その依頼した業者がだまし取ったお金を受け取った人も、詐欺罪の共犯者です。
詐欺でだまし取ったお金から、業者に手数料を払う、という行為は、共犯者間の分け前の分配です。
持続化給付金については、コロナ下で経営難に直面する中小企業、個人事業主に迅速に支給することで救済をはかろうという目的で、申請要件が簡素化されており、ゆえにそのすきを突いた不正が起きるのではないかとの懸念がありました。
報道によれば、このたび、経産省が、持続化給付金の不正受給について調査を開始したとのこと。
その過程で不正が発覚すれば、もちろん刑事告発される可能性があり、最終的には先ほどお話ししたように、詐欺罪として処罰される可能性があります。
また、給付規程に基づき、支給金額に延滞金を加えた金額に、その2割を加えた金額の返還を請求されることになります。
コロナ下で収入が減るなどして今後の生活に不安を抱き、少しでもお金がほしいという心理状態につけこまれて誘いに乗ってしまえば、これにより失うものがあまりにも大きいですよね。
不正の有無につき調査し、不正の証拠をつかむことは非常に難しいとは思います。
でも、調査が進み、そのような調査がなされていることが広く知られることで、失うものの大きさ、発覚のリスクが正しく認識され、不正受給を企てる人も誘いに乗る人もなくなることを願っています。
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