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先日、ガソリンスタンドで別の客が取り忘れたつり銭9000円を持ち去った男性が、警察から事情聴取を受けたという記事が報じられました。
ガソリンスタンドや自動販売機でつり銭の取り忘れを見つけることってたまにありませんか?
恥ずかしながら、私は、つり銭を取り忘れる側の人間です。
昨年も、駅構内でSuicaに現金をチャージするとき、5000円札を入れて3000円分のチャージをした後、2000円のお釣りを取り忘れたことがありました。
なぜその取り忘れに気付いたかというと、チャージしていざ電車に乗ろうとしたらチャージしたばかりのSuicaを手に持っていない…、そう、お釣りの2000円どころか、3000円チャージしたばかりのSuicaも取り忘れたまま、電車に乗ろうと改札に行ってしまったのです。
その間ものの1、2分です。
慌てて券売機に戻ったのですが、すでに、Suicaもお釣りとして出てきていたはずの2000円も跡形もなく消えていました。
駅員さんにも近くの交番にも、届け出がなかったか確認してみましたが、残念ながら、届け出はされていませんでした。
そのときは、まさか、私が取り忘れたSuicaやお釣りをその場から持ち去る人がいるなどという頭が働かなかったので、その後被害届を出すなどという行動にも出ず、誰かが間違って持って行ってしまったのだろうくらいに思っていました。
冒頭に紹介した報道を見たとき、ふと、あのときの自分のうかつさを久しぶりに苦々しく思い出しました。
忘れられたつり銭を持ち去る行為がどのような犯罪になるか
つり銭の取り忘れについては個人的に思い入れが強く、つい前置きが長くなってしまいましたが、みなさん、ガソリンスタンドや駅構内の券売機に忘れられたつり銭を持ち去る行為がどのような犯罪になるか、ご存じですか?
ガソリンスタンドや駅構内の券売機などに取り忘れられたつり銭を持ち去る行為は、窃盗罪にあたり得ます。
窃盗罪の法定刑は、10年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
もしかしたら、店で物を盗んでくる行為と比べると、つり銭の取り忘れを持ち去ることについては、「よくないことではあるけど、そんな大事にはならないだろう」と捉えている人もいるかもしれません。
でも、同じ窃盗罪です。
窃盗罪というのは、少し難しい表現で説明すると、「他人の支配力が及んでいる物について、その人の意思に反して、自分や第三者の支配に移すこと」です。
ガソリンスタンドや券売機のつり銭でいうと、かつての私のように、つり銭を取り忘れた人は、取り忘れに気付いて慌てて戻ってくる可能性があります。
その意味で、つり銭には、取り忘れた人の支配がまだ及んでいるといえます。
ですから、そのつり銭を持ち去る行為は、取り忘れた人の意思に反して、自分の支配に移してしまったこととなり、窃盗罪にあたり得るのです。
落とし物を持ち去ったら?
なお、すでに持ち主の支配を離れてしまったいわゆる落とし物を持ち去ってしまう場合は、窃盗罪ではなく、遺失物横領罪という犯罪にあたります。
その場合は、持ち去った物がすでに持ち主の支配を離れているために、法定刑ががくんと下がり、1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料となっています。
窃盗罪になるか遺失物横領罪になるかで法定刑はずいぶん違いますよね。
どちらの犯罪にあたるのかをわける基準として、物がすでに持ち主らの支配を離れたといえるかどうかが基準になってきますが、実はこの点の評価は実に微妙で、裁判でも問題になることがあります。
持ち主がその場を去ってからどれくらいの時間が経っていたか、物を置いて行ってしまった場所はどのような場所だったのか、など個別の事情により判断されることになるのです。
たしかに、取り忘れのつり銭や忘れ物を発見したとき、時間もなかったりすると、わざわざこれを交番等に届けることができない状況もあるかもしれません。
でも、自分の物にしてしまうのは犯罪です。
今回の報道を見て、取り忘れのつり銭や忘れ物を持ち去ることが、窃盗にしても遺失物横領にしても犯罪になるということ、したがって、これをしてしまえば失うものが非常に大きいことが意外にも知られていないのかなと思いました。
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