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先日、大阪の性風俗店経営者らが、不正競争防止法違反の被疑事実で逮捕されたと報じられました。
報道によれば、この風俗店は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言を受け、大阪府の要請に従っていったん休業したものの、5月中旬に営業を再開するにあたり、「ウイルス検査の結果、全従業員が陰性診断で安全が確認されました」と宣伝し、消毒や清掃の徹底もうたっていたとのこと。
しかし、捜査の結果、従業員らがPCR検査や抗体検査を受けた事実がなかったことが裏付けられたというのです。
不正競争防止法で規制される「誤認惹起(じゃっき)行為」
不正競争防止法は、品質等について誤認を惹起する(ひき起こす)行為を不正競争として規制し、刑事罰の対象としています。
誤認惹起行為というのは、商品の原産地、品質、内容、製造方法等や、サービスの質、内容、用途、数量等について誤認させるような表示をする行為です。
なぜこのような規制があるかというと、事業者が、商品やサービスについて誤認をさせる表示をすることを許してしまうと、適正な表示をして取引をしている事業者から顧客を不当に奪うことになり、これによって公正な競争環境が害されることになるからです。
今回は、警察が、同種店舗の公正な競争環境を維持するという法益のために捜査に着手したというよりは、実際には検査をした実績もないのに嘘を表示することにより、それを見た多くの客が来店することでコロナ感染が拡大するリスクがあったというこの時期だからこその悪質性に鑑みての着手だったのではないかと思います。
店舗に捜索に入る警察官が感染予防のためにフェイスシールドを装着している写真も報じられていましたね。
今回、警察は、店の経営者らを、いきなりこの不正競争防止法違反の被疑事実で逮捕したのではなく、まず、風営法違反の被疑事実(営業禁止場所での営業)で逮捕しています。
まずは、客観的に明らかな風営法違反の被疑事実で逮捕し、経営者らについてはその勾留中の取調べで、従業員らについては並行して行われたであろう取調べで、それぞれ、PCR検査を受けたことなどなかったこと、店の感染防止対策等の供述を得た上で着手に踏み切ったものと思われます。
風俗店がからむ捜査では、誰が経営者だったのか、という点の捜査が大きな課題になってくることがあります。
店の従業員らは真の経営者の存在を知らなかったり、知っていても口止めされていたりして、真相に迫ることが難しいことが多くあります。今後の捜査に注目していきます。
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