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裁判所 鑑定留置を認める
京都アニメーション放火殺人事件で、検察庁は、裁判所に、「鑑定留置」を請求し、裁判所が、9月10日までの鑑定留置を認めたことが報じられました。
今回は、鑑定留置をとりあげます。
鑑定留置とは?
検察官は、勾留中の犯行に精神疾患等の影響があると疑われる場合に、そもそも被疑者に精神疾患があるのか、そして、仮にあったとして、それが犯行にどのような影響を与えたと考えられるのかということについて専門家である医師の見解を聞いた上で、被疑者の起訴か不起訴かの判断をします。
鑑定留置とは、被疑者の精神疾患等に関して専門家による鑑定をさせるため、一定期間、病院やその他相当な場所に被疑者を拘束することです。
鑑定留置を実施するには、裁判所による令状が必要になります。
そして、選ばれた精神科医は、鑑定留置期間中、被疑者と会って話をしたり、必要に応じて被疑者の家族らと会って話をしたり、その他必要な検査、資料の検討を行い、精神疾患の有無やこれが犯行に与えた影響などについて検討していきます。
捜査資料もまた精神科医の判断材料となります。
この点、京都アニメーション放火殺人事件において、弁護人が、取調べの問題を指摘し、被疑者の供述調書を精神鑑定の基礎資料をしないように求めているという旨が報じられました。
被疑者の供述調書も精神科医に提出され、検討材料となることが通常だからです。
今回9月10日までの鑑定留置が認められたと報じられていますが、この期間は、延長したり短縮したりされるということがあります。
私自身も、検察官だったとき、担当していた事件で、当初の予定より精神鑑定がスムーズに進んだため、1か月程度鑑定留置期間を短縮したという経験があります。
そして、この鑑定留置の期間、勾留はストップしているのですが、鑑定留置期間の終了とともに、残りの勾留期間がスタートして、その残りの勾留期間中に、検察官は、鑑定の結果を踏まえて起訴か不起訴かの判断をすることになるのです。
これは、かなり時間的に大変だったと記憶しています。
というのも、鑑定留置の請求は、勾留延長後数日たってからというタイミングが多いので、鑑定留置終了後はあまり勾留期間が残っておらず、その残日数で鑑定書の内容を検討し、起訴か不起訴かの判断をすることはかなりタイトなスケジュールになることが多いからです。
鑑定留置中の逃走
鑑定留置は、病院やその他相当な場所に留置されます。
その他相当な場所として、拘置所に留置されることも多いです。
でも、病院が留置場所となることも多くあります。
その場合に課題になってくるのが、被疑者の逃走を防止することです。
過去にも、鑑定留置中の被疑者が、留置場所である病院から逃走し、20時間以上経ってから発見確保されたという事件が起きています。
鑑定留置中は、必要に応じて、警察官による看守を命じることができることとされています。
でも、実際、警察官が、24時間体制で病室の出入口に立ち、監視するというのは、その期間が何か月にも及ぶことが多いわけですから、その負担はあまりに大きいものとなります。
京都アニメーション放火殺人事件に関して言えば、鑑定留置の場所がどこになるのか、ということはわかりませんし、また、その場所が病院であったとして、そもそも、身体の状況から逃走を図ること自体が可能なのかという話があると思います。
でも、一般的なケースについていえば、病院で留置したほうが被疑者自身の身体状況や精神科医の検査等の都合で適切だというケースなどは、被疑事実が重大犯罪であれば特に、逃走防止措置をいかに図るかは重要な課題になってくると思います。
少し先になりますが、鑑定留置期間を終え、検察官がいかなる判断をするのか、今後も注目していきます。
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