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カスタマー・ハラスメント対策について考える
先日、ある家電量販店で、男性が、店側に、すでに終了したセール当時の価格でイヤホンを買わせるよう求めたものの、店側に拒否されたことから、対応した店員に対して因縁をつけた上、「立ったまま謝罪するのか」などと脅して土下座させたとの疑いで逮捕されたと報じられました。
男性は「土下座を強要していない」と否認しているとも報じられ、事実関係については、報道の限りでしかわかりません。
事実関係は、今後の捜査等の過程で明らかにしていくことですので、報道された件とは少し離れて、カスタマー・ハラスメントについてお話してみたいと思います。
みなさん、「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」をご存じですか。
2025年4月1日にスタートします。
条例では、「何人も、あらゆる場において、カスタマー・ハラスメントを行ってはならない。」と定められています。
一方で、仮に、これに反してカスタマー・ハラスメントがなされた場合のペナルティは定められていません。
また、条例では、事業者による措置等として、「事業者は、顧客等からのカスタマー・ハラスメントを防止するための措置として、指針に基づき、必要な体制の整備、カスタマー・ハラスメントを受けた就業者への配慮、カスタマー・ハラスメント防止のための手引の作成その他の措置を講ずるよう努めなければならない。」と定められています。
一方で、仮に、これに反して事業者がこの措置を講じなかったり、講ずるよう努めなかったりしたとして、その場合のペナルティは定められていません。
とすると、カスタマー・ハラスメント条例と言っても、結局、「気を付けましょう」という程度のもので、事業者としてもそれほど神経質になる必要はないのではないかと捉えてしまうかたもいるかもしれません。
さらには、「うちの会社はこの条例の適用対象外だから関係ない」と捉え、事業者として何らの措置を取る必要もないと考えてしまうかたもいるかもしれません。
でも、それは大きな間違い。
最初に、法的な観点からお話しすると、まず、カスタマー・ハラスメントと一言で言っても、具体的にはいろいろな言動があります。
そのような行為に及んだ場合、それ自体が犯罪と評価され、刑事責任を負う可能性があるとう場合も少なくありません。
たとえば、暴行や脅迫を手段として、相手に、義務がないことをさせれば、それは強要罪になり得ますし、店舗で執拗にクレームを言い続け、退去するよう言われても退去せずに居座り続けたような場合は不退去罪になり得ます。
また、会社が、従業員らを守るための対策を何ら講じず、従業員が現場で悪質な不当クレームを受けているのに、それに対し、会社として適切な対応をしないなどという場合、従業員から、安全配慮義務違反であるなどとして、損害賠償請求される可能性もあります。
ある小学校の教員が、児童の保護者から理不尽な言動を受けたことに対し、その学校の校長が、事実関係を冷静に判断して的確に対応することなく、保護者側の勢いに押され、その場を収めようと、教員に対し保護者に謝罪するよう求めたことについて、不法行為と評価され、学校を設置する市などが損害賠償責任を負うと判断された裁判例もあります。
また、法的な話以前の問題として、カスタマー・ハラスメントが事業者にとってどんな深刻な影響をもつものかということを認識する必要があるでしょう。
被害に遭った従業員は、頭痛や睡眠不良などの症状を訴えたり、現場対応に恐怖を感じ、休退職に追い込まれるかもしれません。
現場のパフォーマンス全体が著しく低下することも考えられます。
各企業にとって、大事な従業員を失うことになるかもしれない上、カスタマー・ハラスメントの防止措置をとらないままでいれば、発生したカスタマー・ハラスメントへの対応に多くの時間を割かれるかもしれません。
企業に対するイメージ悪化にもつながります。
カスタマー・ハラスメントが店舗等他の顧客も集まる場所でなされれば、来店する他の顧客等の利用環境も悪化し、売り上げ等への影響も避けられません。
一方で、カスタマー・ハラスメント対策と一言で言っても、いったい何をすればいいのか、具体的にイメージできないままに時間だけが過ぎてしまうということもあるのではないでしょうか。
カスタマー・ハラスメントに関しては、厚生労働省が指針を出しており、事業者がすべきことを示しています。
でも、それぞれの事業者の規模、業種、現実的に抱えている課題等により、自社ではどこから手をつけていけばいいのかとお悩みを抱えている事業者様も多いのではないかと思います。
弁護士にご相談いただければ、それぞれの抱える課題を踏まえた必要十分なカスタマー・ハラスメント対策をご提案し、必要に応じ、その実行のお手伝いをさせていただきます。
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