<メディア関係者の方>取材等に関するお問い合わせはこちら
不正を見抜く目
先日、地下鉄丸の内線大手町駅の駅員が、落とし物のICカードを使った不正を働いたことが発覚したとの報道を見ました。
報道によれば、駅員は、落とし物のICカードを使って、大手町駅の券売機で320円区間の普通回数券3200円分を購入し、その直後に、払い戻しの手続きをしたとのこと。
このような駅員の行為は占有離脱物横領罪に当たり得ます。
でも、私がこの報道を見たときに一番気になったのは、なぜこの駅員の行為が発覚したのかなというところ。
直接の目撃者がいない限り、正規の手続きにのっとって払い戻しを処理したのであれば、なかなかそこに隠れた不正を発見することは難しかっただろうと思ったのです。
このトピックに触れている記事をいくつか読んでいたところ、ある記事に、その発覚の経緯が簡単に書かれているのを見つけました。
別の駅員のかたが、券売機の売り上げ確定作業中に疑いを持ったというのです。
なぜ疑いを持ったかというと、320円の普通回数券が払い戻されていることに違和感を持ったようなのです。
その違和感の正体は、大手町駅から、片道320円で行ける区間というものがないのに、なぜ大手町駅の券売機で320円区間の10枚つづりの回数券がいったんは購入されたのだろうというものだったといいます。
私は、この発覚の経緯を知ったとき、感動を覚えました。
売り上げ確定作業というものが私にはわかりませんが、実際のお金の動きと、販売の記録を照合するような作業なのだと思います。
その作業において、ある払い戻しの記録を見て、この駅から片道320円で行ける区間がないのにその回数券が販売されていることに違和感を感じたというその感覚を持つこと、一見そのまま読み流してしまいそうになりますが、実はすごいことだと思うのです。
いや、もしかしたら、このような点に注意して作業すべしというマニュアルのようなものがあるのかもしれません。
仮にそうだとしても、そのマニュアルの趣旨を理解し、着実に実行するその姿に感動を覚えるのです。
まさに、この姿勢は、組織内不祥事の発見、予防にとって極めて重要だと思うからです。
企業にとってとんでもない不正が発覚したとき、その報道を見ていると、皆口をそろえて言います。
「なぜ、こんなに大胆なことが行われていたのに、長年、誰も気づかなかったのだろう」と。
組織にとって、それが当たり前の作業になってしまうので、いつもの業務に従事しながら「何かおかしなことが起きているかもしれない」という警戒感をもつことは非常に難しいのです。
ですから、私は、この報道を見たとき、払い戻しの状況に違和感を持ってカメラを確認したという駅員のかたがお仕事に向かわれる姿勢に感動したのです。
このような姿勢は、不正の発見に資することはもちろん、大きな不正を防ぐための力になります。
弁護士として、組織内不祥事対応の仕事をするにあたり必要となる姿勢を改めて学ばせて頂きました。
組織内不祥事に関しては、起きた際の対応が、その不祥事が会社に与えるダメージに大きく影響します。
なにより、不祥事をいかにして予防するかという視点が大切です。
Authense法律事務所では、不祥事予防のための体制構築のお手伝いもしています。
お気軽にご相談くださいね。
企業の不祥事、内在リスクの把握と万が一の対応策は万全ですか?
初回相談60分無料※ ※ ご相談の内容によっては、有料となる場合もございます
-
電話でご相談予約
-
メールでご相談予約
平日:10:00~最終受付18:00 /
土日祝:10:00~最終受付17:00