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「グリ下」に集まる未成年者と不正宿泊
先日、「グリ下」に集まる未成年者らとともに人数を偽って不正宿泊したという疑いで、男性が逮捕されたと報じられました。
「グリ下」という言葉、私は初めて聞く言葉でしたが、よくテレビに映る大阪のグリコの看板下周辺の場所を指すのですね。
報道では、その場所に、未成年者が集まって、飲酒するなどの行為に及んでいることが問題になっていたという点が指摘されていましたが、今回、私がお話ししたいと思ったのは、「人数を偽って宿泊したとして逮捕」という点。
人数を偽って宿泊とは、具体的にどういうことか。
たとえば、ホテルのシングルの部屋に一人で宿泊するとして申し込み、一人でチェックインするのです。
でも、実は、その後、交際相手を部屋に招き入れるつもりなのです。
計画通り、交際相手を部屋に招き入れ、そのまま一泊し、翌朝、その人には先にホテルの部屋を出てもらい、一人で泊まった顔をしてチェックアウトするなどというケースをイメージしてみてください。
今回の報道のケースでは、二人で宿泊するとしてビジネスホテルの部屋をとったものの、実際は、未成年者の男女4人を含む5人で宿泊したというのです。
このことが不正宿泊として評価され、詐欺罪で逮捕されたのだと言います。
なぜ犯罪になるのか、というところをお話ししてみたいと思います。
その大前提として、自分が泊まるホテルの部屋に、泊まる人数にカウントされていない他人を招き入れること、それ自体が問題である場合があるのです。
ホテルは、宿泊約款(やっかん)というものを置いています。
約款の詳しい解説はここではしませんが、要は、ホテルに泊まるという宿泊契約をした場合の、その契約の具体的な内容が書かれているもので、宿泊する人は、そのルールを守らなければなりません。
そして、約款の中には、さらに、「宿泊の際には、利用規則に従うこと」ということが定められており、その利用規則に、「訪問客とは客室内で面会しないでください」という旨が定められていることがあります(ホテルにより、たとえば、客室内での夜間の面会はお断りなどと時間帯を特定している場合もあります)。
その場合は、ホテルに宿泊するにあたっては、自分を訪ねてきた人がいたとしても、その人を泊まる客室に入れてはならず、ロビーなど、そのホテルで「ここには宿泊客以外のかたが入ってもOK」とされている場所で対応しなければならないということ。
にもかかわらず、宿泊予定にない人が、宿泊客の客室で宿泊客と会おうとホテルに入ってくる行為は、ホテルのルールに反した立ち入りといえ、建造物侵入罪の該当する可能性があるといえます。
また、本当は後で交際相手を招き入れ、二人で一泊するつもりなのに、嘘をついて、一人で宿泊するとしてチェックインし、ホテルのサービス提供を受けた行為は詐欺罪にあたります。
ホテル側としては、そんな企みをしている人を宿泊させ、サービス提供することはなかったはずなのに、嘘をつかれた結果、サービスを提供してしまったといえるからです。
実際に宿泊する人数について嘘をついて宿泊するという点は、犯罪としてイメージしやすいかもしれません。
でも、もしかすると、客室に招き入れて、そこで話をしたり、などということについてはあまり「ホテルのルール次第では、やってはいけないことになり得る」という意識は持ちにくいかもしれません。
ホテルの宿泊約款や利用規則はホームページ上で公開されていることも多いので、この機会にちょっと見てみると、これまで意識していなかったルールの発見があると思います。
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