リーガルエッセイ
公開 2022.05.18

「3組に1組の夫婦が離婚する時代」という言葉に救われていたかもしれない過去

「3組に1組の夫婦が離婚する時代」という言葉に救われていたかもしれない過去
記事を執筆した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。司法試験に合格後、検察官任官。約6年間にわたり、東京地検、大阪地検、千葉地検、静岡地検などで捜査、公判を数多く担当。検察官退官後は、弁護士にキャリアチェンジ。現在は、刑事事件、離婚等家事事件、一般民事事件を担当するとともに、上場会社の社外役員を務める。令和2年3月には、CFE(公認不正検査士)に認定。メディア取材にも積極的に対応している。
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離婚率の数字に救われていたかもしれない過去

「3組に1組の夫婦が離婚する時代ですからね」とよく言われますよね。
この離婚率、どうやって算出したのかと思って以前調べたことがあったんです。
そうしたら、どうやら、ある1年間における離婚件数を、同じ年の結婚件数で割った数字らしいということがわかりました。
離婚率というものを知ろうというときは、いったん結婚した夫婦が、そのまま婚姻継続する数と、途中で離婚する数とを比較する必要があるはず。
ですから、ある1年間における離婚件数を、その年の結婚件数で割った数字は、いわゆる離婚率ではないのだと思います。
ちょうど先日の新聞で、この点の問題意識が示され、その上で、「夫婦が結婚35年後までに離婚する確率」というものを算出するという試みがなされていました。
結論として、その結果は、28%だったとのこと。
つまり、だいたい3組に1組弱の夫婦が離婚したという計算になるそうなのです。

「3組に1組が離婚する時代だからね」という言い回し。
「別に離婚って今の時代そんなめずらしいことじゃないよ」という意味合いで使われるような気がします。
私自身も、離婚した当時、離婚したことを周囲に報告すると、「まあ、3組に1組は離婚しますから」とよく言われました。
周りのかたは、私に、「今の時代、離婚はそんなめずらしいことじゃないから、気にするな」と励まそうとしてくれていたのではないかと思うのです。

自分がどう生きるかこそが大事なわけで、その生き方を考える上で、この日本で、離婚がめずらしいかどうかとか、人がどう思うかとか、そんなこと全然関係ないってことはわかっているのです。

でも、今振り返ると、やっぱり、どこかで「離婚したなんて言ったら、周りから、あの人は、パートナーとの関係構築がうまくできなかったんだな」とか、「親が離婚したということで子どもが特別な目で見られてしまったらどうしよう」とか、そんな恐れを抱いていたことは事実だし、そんな時に「3組に1組は離婚している」という話が、その恐れを少しだけ小さくしてくれていたこともまた紛れもない事実なのです。
そして、そんなことがあってもいいと私は思います。
だから、同じように悩んでいるかたがいて、その言葉が少しでも救いになると思えたら、私もやっぱり「3組の1組の夫婦が離婚する時代だよ」って言うかもしれないなと思うのです。
でも、これは強がりでもなんでもなく、今は、そんな数字の力を全く必要としていません。
10年前に離婚して以降、歯を食いしばって、毎日、仕事に育児にがんばってきた自分を誇りに思うし、離婚があったからこその今だと心底思えるからです。

そして、私は、今、離婚の問題に直面し、それを乗り越えようとしているお客様もまた、これを乗り越えた少し先の将来、そんなふうに今のご自身を振り返ることができるようなそんな問題解決ができるように、サポートしたいと思います。

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