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「あれ?この入金なんだっけ?」でお金を引き出したら犯罪?
山口県のある町で、1世帯あたり10万円払うべきコロナ給付金を、間違って、ある1世帯に、4630万円ものお金を振り込んでしまったというニュースが報じられています。
このニュースの驚くべき点は、明らかに誤って振り込まれたこの金額について、振込を受けた男性が、返金に応じていないということ。
町が、返金せよ、ということで裁判を提起したということ、また、刑事告訴を検討中であることが報じられています。
返金を求める法的根拠についてもお話ししたいところなのですが、今回は、こうして、誤って振り込まれたお金を引き出してしまったり、ほかの口座に送金してしまったりしたら、それって犯罪になるの?という点をお話しします。
結論。
実は、いろいろな考え方があって、ここでお話しすることが必ずしも正解というわけではないということを前提としてお伝えします。
その上で、引き出したり、送金したりする、そのお金が、自分のお金じゃなくて間違って振り込まれたものだとわかっていたら犯罪になり得ます。
そのお金をATMから引き出したら窃盗罪が成立する可能性があり、振り込まれたお金を、別の口座にそのまま送金したら、電子計算機使用詐欺罪が成立する可能性があります。
問題になってくるのは、引き出したり、送金したりする時点で、それが自分のお金じゃなくて間違って振り込まれたものだとわかっていたといえるか?ということ。
逆に言えば、「いや、そのお金、自分のものだと思っていたから、故意がないよ」という弁解が通用するか?ということ。
本件については、報道の範囲でしかわかりませんから、軽率なコメントはできません。
ただ、一般的に考えると、4630万ものお金がそのころ自分に振り込まれるなんてことが全く想定されていなかったとしたら、普通、自分のお金だなんて認識を持つこと自体がちょっと考え難いですよね。
そもそも、今回の場合、真相は知りませんが、仮に、引き出したり、送金したりしていたとして、その時点で、すでに町のほうから、「実は誤振込だったのです」と説明を受けていたのだとしたら、当然、引き出そうとしている、または、送金しようとしているお金が自分のものでなく、誤振込によるものだと明確に認識しているといえるでしょうから、「故意がない」なんて弁解は通用しないだろうと思います。
そう考えると、そのような前提事実があったとしたら、窃盗罪または電子計算機使用詐欺罪が成立する可能性があると思います。
この話、実は他人事ではありません。
今やスマホひとつで、実に簡単に振り込みをすることができる分、もしかしたら、それに伴い、送金ミスなどということも起きているかもしれない。
自分の口座に、ある日、心当たりのない多額の入金があったら・・・?
もちろん個別の事情にもよりますが、誤振込だと分かった上でこれを引き出したと認められる場合には、窃盗罪に当たり得るのです。
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