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知っている人は3人に1人
4月1日、改正された民法がスタートしました。
「特別養子縁組」について、対象年齢を引き上げられるなどの改正がなされたのですが、みなさん、特別養子縁組という制度をご存じですか?
新聞報道によれば、日本財団がこの特別養子縁組について意識調査をしたところ、この特別養子縁組を知っている人が3人に1人にとどまることが判明したそうです。
改正は、特別養子縁組制度をより使いやすい制度にするためのものですが、そもそも、その制度自体が知られていないということになれば、改正の目的を達することもできません。
今回は、特別養子縁組という制度についてみていきます。
特別養子縁組は子のための制度
特別養子縁組は、この縁組がなされることで、実の親と養子との親族関係が消滅するという点がポイントです。
一方で、養子と養親との間に実の親子と同様の親族関係が生まれます。
ですから、養親には、実の親が亡くなったときに、その相続人としての立場もなくなります。
この制度は、実親に、経済的事情や若年であることなどを背景に子を育てる能力がなかったり、子に対する虐待があるときなど、子が、血のつながった実親による養育に恵まれない場合に、家庭的な養育環境を整えて保護するという子のための制度なのです。
制度が使いづらいとされてきた点
これまで、特別養子縁組が使いづらい制度だと考えられてきた点が大きく2つありました。
1つ目は、特別養子縁組をできる年齢が低すぎた点です。
養親となることを希望する人が家庭裁判所にその申立てをするのですが、その時点で養子が6歳未満であることが原則でした。
養親と養子が実の親子同様の関係を築くために、できる限り低い年齢から関係を築いたほうがよいと考えられてきたからです。
これにより、自然と、対象となる子の幅が狭まります。
2つ目は、手続きの中で養親が負う負担が大きすぎた点です。
養親となる人は、申し立てた手続きの中で、実親による養育が著しく困難であることなどを主張、立証しなければなりませんでした。
また、原則として実親の同意が必要となりますが、裁判所の判断が確定するまでに実親が同意を撤回することもできました。
そして、そのような不安定な中、養親は、養親の養育能力や子との相性を調べるための半年以上の試験的な養育を並行して行わなければなりませんでした。
このような手続きにより、養親の負う負担は非常に大きいものになってしまっていました。
改正によって使いやすくなる点
4月1日にスタートした改正民法により、今挙げた2点について、制度が使いやすくなりました。
1つ目として、年齢について、養親が手続を申し立てる時点で養子が原則15歳未満であればよいことになりました。
例外として、15歳に達する前から養親候補者が引き続き養育してきた場合で、かつ、15歳までに申立てをできなかったことにやむを得ない事由がある場合は、15歳以上であっても特別養子縁組が認められるとされました。
これにより、対象となる子が増えたことになります。
2つ目として、手続きについて、養親の負担を軽減するものになりました。
まず、手続きが2段階にわけられました。
そして、最初に、実親による養育が著しく困難であること、実親の同意の有無を判断し、この手続きの中で実親がした同意は2週間を過ぎると撤回できないこととなりました。
これにより、まず、その子には、特別養子縁組が必要で、実親も同意しているということが確定した後で、次の段階として、養親と養子の相性、養親の養育能力を判断していくことになりました。
養親が、子に特別養子縁組が必要、適切といえるのか、実親の同意が完全に確定した上で安定した状態で子を試験的に養育することができるようになったのです。
さらに、児童相談所長が、この手続きに積極的に関わることができることとなりました。
まずは、この機会に、特別養子縁組という制度について、一人でも多くのかたに知って頂く必要があるでしょう。
そして、さらに、この改正により、実際、特別養子縁組の制度が使いやすくなっていくか、新たに生まれる問題はないか、という点は、今後、運用の中で検証していく必要があるでしょう。
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