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リコカツ最終話 ~「わたしたちにはわたしたちらしい形がある」~
最終話のテーマは、「夫婦の形は夫婦の数だけある」だったと私は思います。
このドラマでは、「結婚とは」「夫婦とは」に関する「こうあるべき」という登場人物それぞれの価値観がぶつかり合い、離婚し、そして、またそれぞれが関係を再構築する姿が描かれていました。
最後は、どのカップルも笑顔でした。
どのカップルも、離婚によっていったん破たんしてしまった関係を、それぞれ新しい形で築き直すというとてもすてきな結末だったなと思います。
でも、一度壊れた関係をドラマで描かれていたような形で再構築するというのはとても難しいことで、現実にはちょっと考え難いなというのが率直な印象です。
離婚したカップルのうち一方が、「こうすることでもう一度自分たちはやり直せるのではないか」と気づき、その気持ちを相手に投げかけたとしても、ドラマのように、相手も同じ気持ちでいてくれるとは限らず、なんとかして気持ちを訴えようとしようものなら、その態様によってはストーカー規制法違反に抵触する可能性すら出てきます。
だから、「夫婦の形は夫婦の数だけある」ということ、そして、私たちらしい形とはどんな形なのかということは、これから結婚するというタイミングでちゃんと話し合っておいたほうがいいと思うのです。
とはいうものの、結婚する前に、私たちらしい夫婦の形を話し合うって、いざやろうとすると難しそうだと思いませんか?
まだ現実になっていない結婚生活を思い描いて夫婦の形を話し合うって、なんだか話が壮大過ぎて、忙しい日常生活でそんなことをあれこれ小難しく話し合っている時間もないし、話し合いを始めちゃったら、その話し合いをきっかけに余計なけんかが増えてしまったりして面倒だなとも思いませんか?
私は、そう思ってました。
まだ結婚してないんだから、結婚生活のことなんてよくわからないし、まあ、とりあえず問題に直面してから考えればいいでしょうとも思いませんか?
私は、そう思ってました。
でも、やっぱり、できれば、結婚前に、私たちらしい夫婦の形はどういうものかということを話し合うことは必要だと思うんです。
いきなり、お互いの仕事に対する価値観とか、そもそも男性と女性の関係とはどうあるべきかとか、子どもの教育方針とか、そんなところから切り込む必要はないと思います。
ドラマの中にあったように、「おはようとおやすみはちゃんと言おうね」とか「月1回は二人でデートしたいよね」とか「ゴミ出しはじゃんけんで負けたほうが担当することにしない?」とかそんなレベルのことからやってみるのはハードルが低いし、ちょっと楽しくもありませんか?
お付き合いをしている中で、そんなちょっとしたことを話す中で、これをきっかけに話が自然とふくらむこともありそうです。
たとえば、「月1回はデートしたいよね」っていう話をする中で、「でも、子どもができたらどうしようか?」という話になるかもしれない。
子どもができたら、そのルールは撤廃するの?子どもができても、月1回は夫婦の時間を作ることも大事なんじゃないの?だとしたら、子どもが小さいときに、どうやったら夫婦の時間を作ることができるんだろう?お互いの親の近くに住むとか、一緒に住むっていうことも選択肢になるのかな?それとも、ベビーシッターさんをお願いしてみる?そもそも、お互いの親と一緒に住むことについてどう考えてる?子どもが小さいうちは、お互いどうやって仕事と育児とを乗り越えていこうか?
こうやって、日常的に少しずつ話をする中で、自然とお互いの価値観というものがわかってくるし、お互いの考え方が違う部分については、どうやって解決していこうかと考えることもできる。
もちろん、いろいろ話し合った上で結婚したとしても、結婚して初めて直面する問題だってあります。
でも、結婚前からちゃんと話し合うことが習慣化していたら、結婚後に直面した問題にだって、ちゃんとお互いの考えを伝え、解決策を見つけ出すことがスムーズにできるのではないかなと思うんです。
そして、そんな話し合いをするためのもっともっと前の大前提として、やっぱり、まずは相手がどう考えているか、というところではなく、自分はどうなのか?について偽りない本心を知ることが大事なんだろうなと思うのです。
私は、昔、お付き合いしていたかたと、将来のあれこれを妄想して話す中で、「やっぱり、私は、結婚したら仕事は完全にやめて、毎日旦那様と子どものお世話をしたいな」などと言っていたことがありました。
今振り返ると、当時の自分に「どの口が…このうそつきめ!」と言いたくなります。
でも、別にうそついていたつもりはないんです。
今思えば、どこかで、「これが世間的にはあるべき妻の正解の姿なんだろうな」「相手はこういうことを望んでるんだろうな」という答えを勝手に想像して、あたかもそれが自分の本心であるかのように思い込もうとしていたような気がします。
本当は自分がどうしたいのかってことをちゃんと考えていなかったなと思うのですよね。
そして、大事なのは、現実的に、具体的に考えることだと思います。
たとえば、結婚しても仕事をしたいかどうかなどという抽象的なことではなくて、どんな仕事をしていきたいのか、どれくらい稼げるようになりたいのか、子どもを持ちたいと思っているのか、子どもができたとしたら、自分は子どもと過ごす時間についてどうしたいと考えているのか、できるだけ自分一人のときと同じペースで働きたいと思っているのか、それとも、仕事は制限しながら、子どもと過ごす時間をできるだけ作っていきたいと考えているのかなど…そうやって深く掘り下げていくこと。
そうやって見えてきた本心をもって相手と向き合って初めて、話し合いは意味をもってくるのではないかなと思いました。
たまたま同僚から勧められてこのドラマを見始め、気持ちの赴くままにつらつらと書いてきたこのリコカツエッセイも今回が最終回です。
締めくくりにあたって、このドラマを通して思ったことを2つほど。
1つ目は、単なるつぶやきです。
私は、仕事や日常のルーティーンを最高のクオリティで仕上げるという使命を果たすためにプラスになる恋愛であればOK、ただし、恋愛に伴う浮ついた感情は極力排除すべきもので、浮ついたことにより一瞬でも気のゆるみを自覚したり、万が一にも仕事や日常生活にミスが発生したら即刻中断すべし、という自らが課した厳格なルールのもと生きてきましたから、恋愛ドラマなどというものは、私の貴重な時間を奪う上に有害な恋愛脳を植え付ける弊害までついてくるとんでもない代物だと思っていました。
でも、仕事であるという言い訳をしながらすてきなドラマを見終えることができた今、たまには、恋愛に浮ついてみるのもいいもんだなと感じました。
2つ目は、仕事で目指したいことについてです。
今回のドラマで「離婚」はどう描かれていたか?
振り返って見ると、「離婚」は通過点、きっかけとして描かれていたように思います。
いろいろあって選択した最終的な「結果」というよりも、自分の生き方や自分の理想とする夫婦の形などについて改めて考えるきっかけです。
離婚には、どうしてもネガティブなイメージがあります。
「よく考えずに結婚した」「自分と相手の違いについてがまんが足りなかった」「相手にとって魅力的な存在であり続けられなかった」などというイメージがあるのでしょうか?
たしかに、いろいろなケースがあると思いますから、一概には言えません。
でも、私は、そんなネガティブなイメージに、少なくともご自身は支配されないでほしいなと思います。
離婚したいとご相談に見えるお客様の多くが、「なんであんな相手と結婚しちゃったのか」「なんでもっと早く決断しなかったのか」などと、ご自身の過去の選択について後悔の言葉を述べられます。
その気持ち、私は痛いほどわかるんです。
でも、自分は、そのときまでに経験したことや知識なんかを総動員して、一生懸命考えてその選択肢を採用したはず。
そのときの自分には最善の選択肢で、それ以外の選択はできなかった。
だから、そうやって、一生懸命選択した過去の自分を責めたり悔いたりはしたくないし、責めたり悔いたりしても何も生まれないと思うのですよね。
今のあり方次第で、それをいくらでもポジティブな経験として塗り替えることができると思ってるんです。
つまり、今がハッピーになれれば、きっと、今につながる過去の選択を振り返っても「あの経験があったからこそ今がある」と思えるはず。
今がどうか次第で、同じ過去の出来事も意味合いを変えることができる。
私は、自分の過去があったからこそ、今、同じ立場の人の痛みがほんの少しだけ人より想像できると思っているし、過去の一見ネガティブな経験も、今がハッピーなら、あれがあったからこそつかんだ幸せだと思えている気がします。
離婚という選択は、もちろん、自分から喜んで取りに行くような選択ではないと思います。
なければないほうがよいのかもしれない。
でも、もし、離婚することになったとしても、後々振り返って、「あの人とあのタイミングで結婚して、その後残念ながら離婚してしまったけど、結婚もその後の離婚も、今のこの幸せにつながっていたんだな。あれがあったからこその今なんだな。結婚にも離婚にも感謝だな」と思えたらいいですよね。
私の使命は、私を頼って相談に来てくださったかた一人一人が、離婚を通過点として後々振り返ったとき、「あの離婚のおかげで今の幸せがある」と思える自分の人生をつかむお手伝いをすることだと思っています。
相談に見えたかたが離婚することをただただ形式的にお手伝いすればいいなんて考えていません。
そして、そのかたにお子さんがいらっしゃる場合は、お子さんの人生が、ご両親の離婚をきっかけに、むしろ笑顔の増える毎日にすることも私の大事な使命です。
そのためには、ときに、ご依頼者であるお母さんにとって必ずしも望んでいないことを提案しなくてはいけない場面もあると思っています。
このような思いを忘れずに、お一人お一人と向き合っていきたいと改めて思います。
最後になりますが、最終話に至るまで、たくさんのかたにこのエッセイを読んでいただき、個別にたくさんのお声をかけていただきました。
ときにくだらない私生活の悩みを吐露し、ときに独りよがりな熱弁を振るうというつたない連載にお付き合いくださいまして、ありがとうございました!
読んでくださった皆さまに、心より感謝申し上げます。
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