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スーパーのかご持ち去り
「かごパク」という言葉、聞いたことありますか?
スーパーに備え付けられているプラスチック製の買い物かごを持ち去ってしまうことをこのように呼ぶらしいです。
私も、かごどころか、買い物したもの入れたかごをカートに乗せたまま、歩道を、ガラガラとカートを押しながら歩き、そのまま、ご自宅と思われるマンションのエントランスに入っていく女性の姿を見ることがあります。
こそこそと周りの目を気にする様子もありません。
このようなスーパーのかごを持ち去る行為、昔からあったようですが、昨年からスタートしたレジ袋有料化以降、増えているようなのです。
報道によると、この被害が増えた背景として、レジ袋有料化のみならず、コロナ下で巣ごもり需要が高まったことによるスーパーの混雑により店員の目が届きにくくなったことも影響しているのではないかとの見方もあるようです。
ある記事によると、あのかごは1個あたり300円程度するとのこと。
かごは、スーパーの業務にとってなくてはならない物で、しかもスーパーに来る客が増えているという現状があるならなおさら多くのかごを常に確保しておく必要があるわけで、これを持ち去られてしまえば、当然、新たに購入して補充しなくてはなりませんよね。
このかごの持ち去り行為、もしかしたら、マナー違反かもしれないけど、大きな問題じゃないと感じている人もいるように思います。
でも、かごの持ち去りは、窃盗罪にあたる可能性があります。
買い物かごは、言うまでもなく、店内で品物を選んだり、精算後の品物を自宅に持ち帰るための袋に入れ替える台まで運ぶためにあるものです。
これを店外に持ち出すことは想定されていません。
最近では、店舗内に「かごを店外に持ち出すことは禁止です」などという貼り紙がされていることもありますよね。
でも、やはり、商品を店外に持ち出してしまう万引きと比較して、かごの持ち出しって、犯罪であるという罪の意識を持ちにくい側面もあるように思いませんか?
かごを盗んでやるって思って持ち出すというより、毎日のように来るスーパーだから、ちょっと拝借して、明日また来るときに持ってきて、そのまま使おうと思って持ち出すケースが多いのではないかと思うのです。
窃盗罪が成立するためには、こちらのエッセイでもとりあげたように、その物の権利者を排除して自分の物にしてしまう意思が必要になります。
この要件との関係で、「自分の物にしてしまうつもりなかった。ちょっとだけ一時的に借りるつもりだった」との言い分を主張する人がいるかもしれず、たしかに、個別事情に照らして、態様によってはそのような言い分が通ることもあるかもしれません。
でも、買い物かごは、そのように、ちょっと借りるつもりで店外に持ち出すということ自体が許されていないものです。
ですから、原則として窃盗罪にあたりうる行為といえるでしょう。
報道によれば、実際、買い物かごを持ったまま路上を歩いている人を見つけた警察官が職務質問をして摘発した例が昨年だけでも72件もあるとのこと。
その後どのような処分がなされるかはともかく、捜査機関は、この種事案について、黙認するなどという姿勢ではないといえそうですね。
改めて、一人一人がスーパーを営むかたの立場で想像してみたいですよね。
緊急事態宣言が発令されても、人々の生活に関わる場所として、休業にはならず、また、巣ごもり需要もあり混雑する店内、ご自身の感染リスクと隣り合わせで、来店する人の感染予防策を講じながら細心の注意を払って勤務されるさなか、マイバッグを利用しての万引きが増えたり、買い物かごを店外に持ち出す人が増えたりして、その対策をも考えなくてはいけない毎日。
お客様を犯人扱いもしたくない、でも店の利益も守らなければならない。
そんな思いで働かれているかたの思いを一人一人がちょっと想像しただけでも、軽い気持ちで買い物かごを拝借しようなんて発想は持てなくなるのではないのかなと私は思います。
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