<メディア関係者の方>取材等に関するお問い合わせはこちら
「誰かを傷つける犯罪ではない」
先日、俳優が大麻取締法違反の公訴事実で起訴されていた件で、第1回公判期日が開かれたと報じられました。
そして、その期日で、被告人が、法を犯しているという認識はあった一方で、海外では大麻が合法の国もあるし、「誰かを傷つける犯罪ではない」と語ったとも報じられています。
私は、その公判期日を傍聴したわけではないので、被告人が、どのような質問に対し、どのように答えたのかわかりません。
もしかしたら、検察官から、「あなたの中では、どこかに、誰かを傷つける犯罪ではないというような意識があったのではないか」と質問される中で、「そういう意識があったかもしれない」と答えた可能性も否定できず、その文脈によっては、ニュアンスがずいぶん変わってくるのかなと思います。
被告人が、実際どのように考えていたのかはこの報道だけからはわかりませんので、一般論にはなりますが、以前こちらのエッセイでも取り上げたように私は、薬物犯罪のかげには多くの被害者が存在していると思っています。
被告人の立場によって個別の事情は変わってきますが、誰かを確実に傷つける犯罪だと思っています。
そして、そのような思いを持てることこそが、再犯を抑止するのだと思うのです。
薬物犯罪は一般的に再犯傾向が高いと言われています。
でも、自分の行為によって生まれる被害者の存在を認識できていたら、次にもし再犯の誘惑にかられても、自分の行為によって傷つく人の顔を思い浮かべることで踏みとどまることができるかもしれない。
その意味で、もし、今回の件でも、被告人が、今もなお、自身の犯行について誰かを傷つけるものではないと考えているのだとして、その旨法廷でも供述したのだとしたら、もちろん、だれもが薬物犯罪のかげに被害者がいると考えているかはわかりませんが、少なくとも、再犯のおそれに不安を抱く裁判官もいるのではないかなと思います。
報道によれば、被告人が所持していた乾燥大麻の量は10グラムを超えるとのこと。
決して少なくない量です。
大麻取締法違反の量刑は、所持していた薬物の量、前科の有無、認否などによって一定の傾向があります。
初犯で、所持していた大麻草の量が10数グラムだとすると、懲役1年、3年間の執行猶予の判決が言い渡される可能性が高いと思われます。
裁判官は、判決言い渡しの後、被告人に対し、執行猶予期間中の心構えや判決の意味などについてご自身の言葉で語ることがあります。
もしかすると、そのとき、「誰かを傷つけることがない」という点についてのお考えをお話になるかもしれませんね。
初回相談60分無料※ ※ ご相談の内容によっては、有料となる場合もございます
-
電話でご相談予約
-
メールでご相談予約
平日:10:00~最終受付18:00 /
土日祝:10:00~最終受付17:00