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不起訴の理由
先日、あるテレビ番組に出演し、俳優のかたが起こしたひき逃げ事故についてお話をする機会を頂いたのですが、その時間中、速報で入った事件についても追加でお話しすることになったんです。
それが、あるスポーツ選手の男性が知人女性に対し暴行を加えたとして逮捕されたという暴行被疑事件でした。
まだ第一報が入ったタイミングでしたので、その時点で分かっていたことというのは、その男性が暴行罪で逮捕されたということと、その男性が被疑事実について否認しているようであるということでした。
このとき、私は、「まだ事実関係は全くわからないものの、女性が暴行を受けたという被害を申告した事実はあるのでしょうね」などとお話ししました。
しかし、その後の報道を見ると、女性においても、男性からの暴行被害を否定しているとのこと。
つまり、男性も女性も、暴行の事実を否定しているというのです。
そうなると、なぜ警察は男性を暴行罪で逮捕したのか?と思います。
一般的に考えても、たとえば現場が多少荒れた状況があったとして、被疑者と思しき人、被害者と思しき人、当事者双方が、「暴行はない」と言っていて、周囲に、暴行を目撃した人もいなかったら、被疑者を暴行罪で逮捕するということはちょっと考えづらいのかなと思うのです。
本件にはどんな事情があったのかはわかりません。
いずれにせよ、この男性は不起訴になったとのこと。
不起訴の理由は、嫌疑不十分であったと報じられています。
不起訴処分にも3つの種類があります。
起訴猶予(きそゆうよ)、嫌疑不十分(けんぎふじゅうぶん)、嫌疑なし。
起訴猶予というのは、証拠上、被疑事実は認められるものの、被害の重さ、被疑者の抱える事情、示談成立など犯行後の事情などを考えると、起訴しなくてもいいだろうと検察官が判断したというもの。
嫌疑不十分というのは、捜査の結果、裁判で有罪を証明することが難しいと検察官が判断したというもの。
嫌疑なしというのは、捜査の結果、被疑者に対する犯罪の疑いがないと検察官が判断したというもの。
報じられているとおり、本件が嫌疑不十分であるとして不起訴になったのだとしたら、この件は、裁判で暴行の事実を立証することが難しいと判断されたということになります。
被疑者、被害者ともに暴行の事実を否定しているのだとしたら、その判断はもっとも。
事実はわかりませんが、そもそも最初に暴行の被疑事実で逮捕することにした、その判断過程を検証してみる必要はあるかもしれません。
余談ではありますが、今回、男性が釈放になってから処分が出るまでのスピードがずいぶん速かったなと思います。
身柄拘束されている事件だと法律で決められた時間制限がありますが、いったん釈放されてしまうと、どうしても身柄拘束事件が優先になってしまうせいか、ほかの在宅事件同様、捜査のスピードが落ち、処分が出るまでの時間がかかってしまう傾向があるように思います。
今回、社会的に知名度のあるかたの逮捕だったがために注目も集まっており、処分のゆくえがそのかたの社会的評価にも大きく影響するだろうということもあったのかもしれません。
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