少年事件の手続きについて

少年審判を受ける少年事件とは

少年法の対象となる少年は20歳未満の人をいい(少年法2条1項)、少年審判を受ける可能性のある少年事件とは、⑴犯罪少年が起こした事件、⑵触法少年が起こした事件、⑶虞犯(ぐ犯)少年が起こした事件の3種類があります。

犯罪少年とは14歳以上の少年で犯罪を犯した少年のことをいいます(少年法3条1項1号)。

触法少年とは、14歳未満で犯罪を犯した少年のことをいいます(少年法3条1項2号)。

虞犯少年とは、犯罪を犯した少年ではないものの、少年法3条1項3号が定める虞犯事由のいずれかにあたり、かつ、その性格または環境に照らして、将来、犯罪を犯し、または犯罪に触れる行為をするおそれがある少年のことをいいます(少年法3条1項3号)。虞犯事由は、①保護者の正当な監督に服しない性癖があること、②正当な理由がなく家庭に寄り付かないこと、③犯罪性のある人もしくは不道徳な人と交際し、またはいかがわしい場所に出入りすること、④自己または他人の徳性を害する行為をする性癖のあること、の4種類があります。

犯罪少年が警察によって逮捕された場合の一般的な流れと手続き

少年が警察に逮捕され、取り調べが行われる

まず、警察から検察庁に送られる前の時点で、事件についての取調べが行われます。
弁護士が付いていた場合、少年に対して取調べに関するアドバイスをすることができたり、事件が検察庁に送られる前に検察官に対する意見書を準備することもできたりするため、少年が逮捕された場合には早急に弁護士を付けることをおすすめします。

事件が検察庁に送られる

取調べの結果、死刑・懲役刑・禁錮刑にあたる犯罪の嫌疑があるときは、48時間以内に事件が検察庁に送られます(少年法40条)。他方で、罰金以下の刑にあたる犯罪の嫌疑があるときは、検察庁に送らずに、家庭裁判所に送られることになります(少年法41条)。事件が検察庁に送られたあと、検察官は少年の身体を拘束する勾留を請求し、少年を勾留したうえで家庭裁判所に事件を送るか、もしくは勾留を請求せずにそのまま家庭裁判所に事件を送るか判断します。弁護士が付いていた場合、弁護士は、検察官に対して、少年の身体拘束期間を少しでも短くするように働きかけます。また、被害者のある事件においては、家庭裁判所に送られる前に、被害者と示談ができるように、被害者への連絡を試みます。

家庭裁判所に送られる

事件が家庭裁判所に送られてきたら、裁判官は少年を少年鑑別所に収容すべきかどうかの判断をします(観護措置の審判)。裁判官が観護措置決定を出すと、その少年は原則として最大4週間少年鑑別所に入ることになり、家には帰れません。弁護士が付いていると、観護措置の審判の前に、弁護士が裁判官と面接したり、意見書を提出するなどをして、少年を鑑別所に収容しないよう働きかけることができます。

少年が少年鑑別所に収容される(原則最長4週間)

事件が家庭裁判所に送られたあと、家庭裁判所の調査官が、少年が起こした事件のことや少年の家庭環境などを調査します。調査官は、その調査結果を基にして、少年にどのような処分を下すべきか考え、その意見をまとめた調査票を裁判官に提出します。裁判官は、調査官の意見を最重要視するため、調査官の作成する調査票に、少年にとって不利になることが記載されないようにすることが最重要の方針となります。弁護士が付いていれば、弁護士は調査官と頻繁にコミュニケーションを取り、調査官に対して、少年の抱える課題だけでなく優れた面にも気づいてもらうよう努めます。

少年審判を受ける

その後、家庭裁判所にて、少年審判が行われます。少年審判では、裁判官が少年に対して事件のことや事件後に考えたことなどを聞いていきます。また、裁判官は、保護者に対しても少年の問題点などについて質問していきます。これを聞き終わったあと、家庭裁判所が、その少年に対して処分を下します。弁護士が付いていれば、弁護士は、少年に寄り添い、少年の緊張をほぐして裁判官に自分が伝えたいことをしっかり伝えられるようにしたり、裁判官が少年の言いたいことを汲み取れず少年のことを誤解してしまったような場合でも、弁護士が裁判官に対してその点を指摘して、誤解を解くよう努めることができます。

以上のように、お子様が逮捕された場合には、早急に弁護士を付けることが大事です。そのため、万一お子様が逮捕されてしまった場合には、至急弁護士に相談をすることをおすすめします。

触法少年の場合の手続き

14歳未満の少年の行為は犯罪とはなりません(刑法41条)。そのため逮捕されることはありません。警察官が事件の調査を行い、その結果、①故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪、および死刑または無期もしくは短期2年以上の懲役もしくは禁固にあたる罪に係る刑罰法令に触れる事件、および、②家庭裁判所の審判に付することが適当と思料される事件については、事件を児童相談所長に送ることになります。その後、児童相談所の職員が少年や少年の保護者から話を聞いていくことになります。児童相談所は、そこで聞いた内容や警察の調査結果などを総合して、送られてきた少年について、家庭裁判所の審判に付することが適当であると認めた場合には、少年を家庭裁判所に送ることになります。
家庭裁判所に送られた後の手続きについては、犯罪少年の場合と同様です。

虞犯少年の場合の手続き

虞犯少年は、犯罪を犯したわけではないため、警察によって逮捕されることはありません。
14歳未満の虞犯少年については、触法少年と同様の流れとなります。
14歳以上18歳未満の虞犯少年については、警察官が調査を行ったあと、直接に家庭裁判所に送るか、児童相談所に通告すべきか判断することになります。
18歳以上の虞犯少年については、通常通り家庭裁判所に送られることになります。

児童相談所長に送られた場合には触法少年と同様の手続き、家庭裁判所に送られた場合には犯罪少年と同様の手続きとなります。

記事を監修した弁護士
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