器物損壊事件 弁護士に相談するメリット
器物損壊罪は、これまで犯罪とは無縁だったかたにとっても実は身近な犯罪です。
他人とのちょっとしたトラブルが発端となって、思わずしてしまった行動によって加害者という立場に立つことになってしまうことがあります。
軽微な犯罪というイメージを持たれがちではありますが、処分の内容によっては前科となります。
もちろん、事件の内容や加害者の置かれた状況等によっては逮捕されてしまうこともあります。
対応に不安がある場合、まずは、弁護士に相談をしてみてください。
器物損壊事件における対応方針
器物損壊事件は、一般に、比較的軽微な財産罪と考えられていますので、不起訴処分になることは十分にあり得ます。また、器物損壊罪は、被害者などからの告訴がなければ、起訴されることはありませんので、被害者との示談を成立させるべく適切な弁護活動を行い、告訴を取り下げてもらうよう働きかけることができます。
器物損壊事件の概要と刑の重さ
器物損壊罪は、他人の物を壊したり、他人のペットを殺傷したりした場合に成立します(刑法第261条)。
損壊とは物の本来の効用を失わせることを言い、物理的に物を壊したり傷つけたりする場合だけでなく、例えば、養魚池の水門を開いて飼育中の鯉を放流した場合にも器物損壊罪が成立します。
器物損壊罪の法定刑は、3年以下の懲役(※1)又は30万円以下の罰金若しくは科料(※2)とされています(刑法第261条※3)。ただし、被害者などからの告訴(※3)がなければ、検察官は起訴することができません(刑法第264条)。
※1 1月以上3年以下の期間、刑事施設に拘置され、所定の作業を行わされる刑(刑法第12条1項)。
※2 1000円以上1万円未満の金銭を支払う刑(刑法第17条)。
※3 捜査機関に犯罪を申告して、処罰を求めることをいいます(刑事訴訟法第230条)。
器物損壊の疑いで逮捕されてしまった場合、どういう手続が進むのか
検察官送致
犯罪行為をしたと疑われる者(このような方を「被疑者」といいます。マスコミは被疑者を「容疑者」と呼んでいます。)として、警察官に逮捕された場合、まず警察署で取調べ(弁解録取)が行われます(刑事訴訟法第203条1項)。警察官は被疑者を逮捕した時から48時間以内に、被疑者を検察官に送致しなくてはなりません(刑事訴訟法第203条1項)。被疑者の送致を受けた検察官は、被疑者を受け取った時から24時間以内に、被疑者を拘束し続ける必要があるかどうかを検討し、拘束し続ける必要があると判断した場合には、裁判官に対して、勾留請求をします(刑事訴訟法第205条1項)。
勾留決定
検察官が勾留請求をすると、被疑者は裁判所に送られて、勾留請求を受けた裁判官から話(勾留質問)を聞かれます(刑事訴訟法第207条、第61条)。
被疑者から話を聞いた裁判官が、検察官の主張する通り、引き続き被疑者の身体を拘束し続ける必要があると認めた場合、裁判官は勾留決定を出します。勾留決定が出た場合、被疑者が勾留された日(勾留決定が出た日)を1日目として、10日間身体を拘束されます。その間、捜査機関は事件の捜査を行うので、被疑者は捜査機関の取調べを受けることがあります。 検察官は、原則として、この10日間の間で、捜査を尽くし、被疑者を起訴するか否かを判断して、起訴しないと判断した場合には被疑者の身体を解放しなくてはなりません(刑事訴訟法第208条1項)。
例外的に、検察官が、被疑者が勾留された10日間を超えて被疑者の身体を拘束し、捜査をしなくてはならないと考える場合、検察官は、裁判官に対して、勾留期間を延長するように請求することができます(刑事訴訟法第208条2項)。裁判官が、やむを得ない事情があるから、勾留期間を延長する必要があると判断した場合、被疑者は、前の10日間の勾留に引き続いて、最大10日間、身体を拘束されることになります。この場合、最初に勾留された日から合計すると、最長で20日間、身体を拘束されるおそれがあります。
検察官は、被疑者を勾留している最長20日間の間に、捜査を尽くして、被疑者を起訴するか否かの判断をし、起訴しないと判断した場合は、被疑者の身体を解放しなくてはなりません(刑事訴訟法第208条)。他方、検察官が起訴すると判断した場合は、裁判所で刑事裁判が行われることとなり、審理の結果、犯罪事実の存在が検察官により立証されていると裁判所が判断すれば(つまり、裁判所が、社会常識に基づいて考えると、「被告人は犯罪をしていないのではないか」という疑問は合理的でないと判断したということです。)、有罪判決が出されることになります。
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