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覚せい剤を他人に打ったら?覚せい剤を他人に勝手に打たれたら?
先日、未成年の少女に覚せい剤を注射するなどしたという被疑事実で、男性が逮捕されました。
報道によれば、男性は、ホテルや自宅で、少女に複数回覚せい剤を注射したとのこと。
被疑者は被疑事実を認めていると報じられています。
私が見た報道の限りでは、男性自身も覚せい剤を使用していたのかどうかはわかりません。
報じられた被疑事実の内容は、少女に覚せい剤を注射したこと。
これを見て、「覚せい剤を他人に注射させた場合にも覚せい剤を『使用』したと評価されるの?」と疑問に思われるかたもいるかもしれません。
たしかに、「使用」というと、自ら使用する場合を指して表現しているように見えますよね。
でも、この「使用」は、自分で使用する場合のみならず、自分は使わなくても、他人に注射するなどして使わせる場合も含むのです。
ですから、仮に、報じられた男性が、自らは覚せい剤を使用していなくても、少女に対して覚せい剤を注射していた事実があれば、覚せい剤を使用したとして覚せい剤取締法違反の罪にあたります。
では、少女のほうはどうでしょうか?
こちらも、少女の認識等は報道から不明ですので、この事案を離れ、一般論でお話したいと思います。
自分は覚せい剤を使うつもりなどは全くないままに、交際相手等他人から覚せい剤を注射等されて結果として覚せい剤を体内に入れられてしまったという場合は、覚せい剤使用の故意を欠きますから、覚せい剤取締法違反は成立しません。
この点、過去にも、被告人が、他人から強制的に覚せい剤を注射されたという事実が認められ、自己使用の故意や共犯者(注射した者)との共謀があったとは認められないとして覚せい剤取締法違反について無罪が言い渡された裁判例があります。
故意が認められるのかという認定は、通常、とても難しい判断になります。
注射した者が、相手から頼まれて注射したとか相手も注射を了解していたと供述する場合、供述だけでは1対1。
両者の関係、当日会うことになったいきさつ、両者それぞれの覚せい剤との親和性、注射後の事情等を捜査して判断することになるでしょう。
なお、報道によれば、男性と少女はSNSで知り合ったと見られているとのこと。
まだ事実はわかりませんが、もしそうだとすると、未成年者が、SNSを通して見知らぬ人と出会うことをきっかけに、このような命の危険にも発展しかねないおそろしい犯罪に巻き込まれる危険性があることについて、認識が広まることを願います。
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