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面識の有無
先日、ある男性が強制わいせつ罪で逮捕されたという記事を読んだのですが、そこに、「面識のない女性にわいせつな行為をしたとして」逮捕されたと記載されるとともに、その記事のタイトルにも、「面識のない女性にわいせつか?」と大きく掲げられていたのです。
みなさんも、ある犯罪が起きたとして被疑者が逮捕されたという記事に、被疑者と被害者との面識の有無が書かれているのを読んだことはありませんか?
私の知人に、法律の勉強をしたことはなく、法的な知識はないけれど、日々、不思議に思ったことをあれこれ聞いてくる人がいます。
そして、その知人が投げかけてくる質問が、私自身は当たり前のように感じていて気にもしていなかったことを気付かせてくれる貴重なきっかけになったりします。
その知人から、先日、「ていうかさ、なんでいちいちニュースで『被疑者と被害者は面識がある』とか『見知らぬ相手に』とか言うわけ?関係なくね?」と言われました。
なるほど、そんな見方もあるのだなと思いました。
たしかに、被疑者と被害者に面識があるかどうかということは、発生した事実自体とは関係がないという見方もありそうですよね。
AがBに対してわいせつ行為をしたとして逮捕されたという報じかたでいいではないか?
わいせつ行為があったかどうか、その犯人がAかということが問題なわけで、面識の有無など関係ないだろうという見方なんですよね。
でも、捜査にあたって、被疑者と被害者の間の面識の有無を特定することはとても大事になってきます。
まず、そもそもその被疑者が犯人かどうかを認定するために大事な要素になるはずです。
仮に被疑者が犯人であるとして、面識がある二人の間で起きた事件だとしたら、そこに至る経緯を明らかにしなければなりません。
犯行の動機ですよね。
犯行の動機がどのようなものだったか、ということは、量刑にも影響します。
もし、面識がないにもかかわらず犯行に至ったのだとしたら、ではどうして被害者がねらわれたのかを明らかにしなくてはいけません。
被害者は被疑者を知らなかったとしても、被疑者は実は被害者をかねてから認識していて、ひそかに計画した犯行だったかもしれない。
被害者のかたは、常にその可能性を考えて不安に思うと思います。
ですから、捜査官としては、被害者のためにも事実を徹底的に明らかにして被害者に説明する必要があると思います。
そして、そのようなストーカー的側面がある事件だとしたら、被疑者が供述していないだけで、実は、被疑者は被害者について多くの情報を知っている可能性があり、再犯を防止するための方法を考えなければならないでしょう。
もしかしたら、被疑者は、その日まで被害者を全く認識していなかったのかもしれない。
でも、もし、被疑者が、被害者を全くその日まで認識していなかったのに、場当たり的に犯行に及んだのだとしたら、そんな経緯で犯行に及ぶような被疑者にはもしかしてほかにも余罪があるのかもしれない。
そんなことも想像しながら徹底した捜査がされていると思います。
被疑者と被害者の面識の有無は、少し考えただけでも事案の真相解明にとって大事な要素となるといえそうですよね。
そして報道としてもそのような事案の真相に迫る要素は報じざるを得ないのだろうなと思います。
そんなことを説明しだすと、私もだんだん熱がこもり、自覚もないままに、信じがたいほどの熱弁になってしまうわけです。
ふとした疑問を口にしただけの知人からすると、正直ここまでの熱弁を期待していたわけでもないでしょうから、聞かなきゃよかったと思っているのだろうなといつも思います。
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