リーガルエッセイ
公開 2020.11.18 更新 2021.07.18

示談が成立しても執行猶予がつくとは限らない?

記事を執筆した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。司法試験に合格後、検察官任官。約6年間にわたり、東京地検、大阪地検、千葉地検、静岡地検などで捜査、公判を数多く担当。検察官退官後は、弁護士にキャリアチェンジ。現在は、刑事事件、離婚等家事事件、一般民事事件を担当するとともに、上場会社の社外役員を務める。令和2年3月には、CFE(公認不正検査士)に認定。メディア取材にも積極的に対応している。
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示談成立でも実刑

先日、元俳優の男性が強制性交等罪に問われていた事件について、控訴審判決が言い渡されました。
1審では懲役5年という判決でしたが、控訴審では懲役4年。
報道によれば、被告人が、1審判決後、被害女性に慰謝料300万円を払い、和解が成立したとのこと。
この事実が考慮されての減刑ではないかとも報じられています。

一方で、「被害者との間で和解が成立しても執行猶予はつかないのか」という声もあるようです。

たしかに、一般的に、事件によっては、事件の加害者と被害者との間で示談が成立したら、起訴されない、とか、仮に起訴されたとしても、執行猶予判決になるとかいう場合はあります。
でも、強制性交等罪は重い犯罪です。
証拠によって事実が認められる場合、という前提ですが、被害者との示談が成立していなかったら、起訴され、実刑判決が言い渡されるのが通常です。
示談が成立していないのに執行猶予がつくということはまずないといっていいと思います。
では、示談が成立すれば、必ず執行猶予がつくのか、というと、そうとはいえません。
まず、「示談」といっても、その内容はいろいろだと思います。
示談書の中に、被害者のかたが、加害者の謝罪と慰謝のための措置を受けて加害者を許し、その厳罰を望まない、寛大な刑罰を望む、というお気持ちであることが記載されている場合もあれば、被害者のかたが、加害者側からの謝罪と慰謝の措置を受けた、という事実の記載にとどまる場合もあり得ます。
被害者のかたが被害についてどのような思いでいるか、ということが量刑に影響する以上、加害者の対応を踏まえて被害者の気持ちがどうなったかということについても量刑に影響します。
ですから、「示談成立」と一言でいっても、その具体的内容によって、量刑にどのような影響を与えるかは変わってくるといえるでしょう。
そして、たとえ、被害者のかたが加害者の犯行について許すとしていても、犯行の重大さに鑑みて実刑判決が言い渡されることはあります。

今回報じられた件では、被害者のかたと被告人側とでどのような話し合いがなされ、どのような内容の和解が成立したのかはわかりませんが、いずれにせよ、犯行の重大さ、生じた被害の大きさからすると、和解を考慮してもなお実刑が相当だと判断されたのだと思います。
性犯罪をめぐって被害者、加害者との間で示談に向けた話し合いをするという場合、事案の性質からしても、直接のやりとりをすることは望ましくない場合が多いでしょう。
加害者側には弁護人がつく場合が多いとしても、被害者のかたが、相手の弁護人とやりとりするというのは精神的に負担が大きいことです。
被害に遭われ、相手に弁護人がつき、その弁護人から連絡が来てご不安な思いを抱えているかたは、ぜひ一度弁護士にご相談ください。

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