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偽札を作ったり、使ったりするのは重罪
先日、タクシー運賃の支払いの際、偽造した1万円札を使ったとして被疑者が逮捕されたと報じられました。
報道によれば、被疑者は、その偽造1万円札を自分で作ったとも供述しているとのこと。
本当に、被疑者自身が偽造1万円札を作ったのか、捜査機関は、被疑者の自宅等を捜索し、偽造1万円札の作成に使ったと思われるプリンター等を押収したり、本当に被疑者にはその道具を使って偽造1万円札を作る技術があるのか、被疑者の説明を受けて裏付け捜査したりすることになるのだと思います。
偽札を作ったり、使ったりすることは通貨偽造罪、同行使罪という犯罪に当たります。
偽札を作ったり、使ったりすれば、犯罪になるだろうということはだれもが知っていることだとは思うのですが、意外と知られていないのが、この犯罪がとても重い犯罪とされていることです。
法定刑は、どちらも無期懲役又は3年以上の懲役です。
実際にも厳しい刑に処せられています。
証拠により事実が認められれば、起訴猶予になることはまずないでしょう。
お金に関する犯罪だから、罰金刑もあるのではと思うかたもいるかもしれませんが、法定刑に罰金はありませんから、罰金刑になることもありません。
では、起訴された場合、どのような刑になるか?
前科がない場合でも、懲役3年、執行猶予5年という判決が言い渡された例が複数件あります。
執行猶予5年というのは、執行猶予期間として最長の期間です。
もちろん、個別事情によりますし、犯罪にもよりますが、起訴された事案で、被告人が自白していて、被告人に前科がない場合、執行猶予の期間としていきなり5年間が言い渡されることはそうあることではありません。
しかも、通貨偽造罪、同行使罪について懲役3年、執行猶予5年が言い渡される判決の量刑理由を見てみると、偽造が、個人により自宅のプリンターなどを使ってなされたもので、出来もそれほど精巧とまではいえず、偽札の枚数や使った回数などもそれほど多くなく、社会に与えた影響としては比較的軽いと評価した上で、このぎりぎりの執行猶予判決。
犯行について不合理な否認をしていたり、組織的、職業的な犯行と評価されたり、偽造の枚数、使った件数等に鑑み社会に与える影響が大きいと評価されたりする場合は、たとえ前科がなくとも、一発実刑判決が言い渡されることもあります。
なぜそこまで重い犯罪なのか?
それは、この犯罪が、通貨に対する信用を破壊する犯罪だからです。
通貨への信用破壊は、通貨の流通を阻害します。
この犯罪の捜査は、通貨が偽造であることの鑑定がなされたり、誰が何を使ってどのように通貨を偽造したのか、その道具とともに特定したり、仮に通貨を偽造した者と行使した者とが異なる場合、偽造通貨を行使した者は、当該通貨が偽造されたものであることを認識していたか、また、いつどのような過程で認識するに至ったのかを調べたり、捜査すべきことが多岐にわたる上に、被疑者の内心を明らかにする必要性があるなど慎重な捜査を必要とします。
今後の捜査、処分の報道に注目していきます。
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