リーガルエッセイ
公開 2020.11.09 更新 2021.07.18

不正受給者が考えるべきこと

記事を執筆した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。司法試験に合格後、検察官任官。約6年間にわたり、東京地検、大阪地検、千葉地検、静岡地検などで捜査、公判を数多く担当。検察官退官後は、弁護士にキャリアチェンジ。現在は、刑事事件、離婚等家事事件、一般民事事件を担当するとともに、上場会社の社外役員を務める。令和2年3月には、CFE(公認不正検査士)に認定。メディア取材にも積極的に対応している。
<メディア関係者の方>取材等に関するお問い合わせはこちら

「仲間を売るわけにはいかない」?「自分だけ抜け駆けというわけにはいかない」?

連日、持続化給付金の不正受給をめぐり、詐欺罪で逮捕されたというニュースが報じられています。
先日は、ある大学生について、個人事業主で、新型コロナの影響によって事業収入が減少したとうその状態を装って持続化給付金の申請をして給付金をだまし取ろうとした3人の男性が詐欺未遂罪で逮捕されたと報じられました。
申請名義人となった大学生が出頭して事実を申告したことをきっかけに発覚したとのこと。
詳しい事実関係は分かりませんが、詐欺未遂罪ということなので、もしかしたら、自首した大学生は、申請したものの、不正受給の報道を見る中で怖くなって振り込まれる前に手続きを止めたのかもしれませんね。

持続化給付金の不正受給に関して相談をお受けしたり、報道を見たりする中で感じるのは、関係者の多さです。
自分一人で計画して、自分名義で申請してお金を全額受け取るというパターンはあまり聞かず、友達から誘われて、とか、SNSで募集していて、とか、誘うなどきっかけを作る人が存在し、その後の手続も、代行してくれる人がいたり、手続きを教えてくれる人がいたり、といろいろな人がいろいろな役割で関わっていることが多いと感じます。
このように、関わっている人が多いからこその特徴があると感じています。
それは、最近の逮捕報道を見ておそろしくなった人が、不正受給を自首しようと考えるのですが、最後は、「自分が自首することで、紹介者や手続き代行者の存在も警察に発覚し、自分が仲間を売ることになってしまうのでは?抜け駆けのような卑怯な行動なのでは?」と悩み、自首をためらう人がいるということです。
もしかしたら、そのお気持ちの奥底には、「仲間を売れない」を口実にしているものの、実は、自分自身が犯行の発覚を不安に感じて自首に踏み切れないというかたもいると思います。
「自分がやったことは正直に話す覚悟はできているけど、他人の関与については絶対に言えない」というかたもいるかもしれません。
その気持ち、わかります。
でも、今、そんなこと言っている場合じゃないんです。

たしかに、自分がほかの関わった人たちより先に自首し、捜査機関に対して、自分にこの話を紹介してくれた人や手続きを代行してくれた人を洗いざらい話せば、自分に関しては自首が成立する可能性がありますが、自分が話したことにより、捜査機関に、関係者の犯行が発覚し、彼らが後に自首しようとしても、すでに自首の要件を満たさなくなる可能性が出てきます。
でも、逆に自分が自首をためらっている状況で、関わった人の誰かが自首して洗いざらい供述してしまえば、今度は自分について自首が成立しなくなる可能性が出てくる。
自首が成立しないどころか、自ら出頭する前に逮捕されるかもしれません。
関わった人が自首するケースばかりではありません。
関わった人の誰かが逮捕されてしまっても同じ。
今、警察は、持続化給付金の不正受給について、詐欺罪での立件を積極的に行っています。
この状況では、いつだれが逮捕されるかわかりませんよね。
不正受給を行ってしまい、そのことを後悔しているかた。
そして、自分がやってしまったことはきちんと警察に申告し、新たな気持ちでスタートを切りたいと考えているかた。
まずは、自分だけのことを考え、今、自分は何をすべきか一緒に考えましょう。
その上で、もし、仲間の存在があり、自首した際の警察の取調べで何をどう話せばいいかわからないというかた、ぜひ一度弁護士にご相談ください。

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