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「被害者の身に危険が及ぶ認識はなかった」
昨年、福岡県で30代の女性が暴行を受け、その遺体が遺棄された事件で、男女3人が傷害致死罪、死体遺棄罪等で起訴されて現在裁判が行われています。
この事件をめぐっては、被害女性のご家族が、事件が起きたとされる前に、警察署にたびたび相談に行かれていたことがわかり、これに対し、警察が適切な対応をとっていなかったのではないかという疑いが報じられていました。
当初、警察は、事実関係を調査中としていましたが、先日、警察署は、被害女性の家族から8回にわたり相談を受けていたことを認めましたが、相談の内容は、被害女性が夫に金の無心をしたことや、夫への第三者(起訴されている被告人の1人)による恐喝に関するもので、被害女性の身の危険を訴えるものではなかったから、被害女性に被害が及ぶ認識はなかったと説明したとのこと。
この報道について、みなさんはどうお感じになりましたか?
私は、警察の説明に不信感を持ちました。
警察が、仮に当時「被害者の身に危険が及ぶと認識していなかった」としても、結果として、被害者は命を落としたわけです。
この結果を踏まえて、当時の警察の相談を受ける姿勢、相談を受けての対応に判断の誤りがあったとはいえないのか、今、当時に戻ったら、だれが、何をどうしたら最悪の結果を防げたといえるのか、という検証がどの程度なされたのだろうかと疑問に思います。
報道を見るだけでは、あたかも、当時の判断はやむを得なかったと読めました。
だとすると、今、当時に戻っても同じ対応をせざるを得なかったというのでしょうか?
だとすれば、また同じような事件を防ぐことができないのではないか?と思えてしまいます。
また、相談者の話をもとに事件の危険性を察知すべき責任は警察にあるのであり、それを、相談者の相談内容が、被害女性の身の危険を認識させるに足るものではなかったと弁明するのは責任の放棄ではないかとも思います。
家族の相談内容が、仮に、直接的に、被害女性の身の切迫した危険を指摘するものでなかったとしても、少なくとも警察が認める限りでも8回も相談されていたというのです。
相談の内容を私自身がすべて知るわけではないので、軽々しい意見は言えません。
でも、私自身、弁護士としてご相談を受けている経験から言っても、ご相談に見えるかたが、必ずしも、ご自身の身に起きている出来事の中で何に不安を抱いているか、何に危険を感じているかということを正確に話せるとは限りません。
ご自身の経験を事実として語れたとしても、それをもとに、誰にどんな危険が迫っていて、それをどうしたいのか、などということを正確に訴えることができる場合ばかりではありません。
話を整理して、そこにどんな危険がひそんでいて、警察としてはどこに切り込むべきなのか、という的確な判断をすることは、警察にこそ求められていること。
仮にそれが当時できていなかったのだとしたら、そのできていなかったことを率直に認めて、今後、それをどう改善して再発を防いでいくのかという説明があってしかるべきではないかと思うのです。
弁護士として仕事をしている中で、犯罪被害に遭われたかたから、「警察に相談に行きましたが、被害届を受理できないと言われました。」と相談を受けることがあります。
いろいろなケースがありますが、中には、ご依頼を頂いて、弁護士が警察署に同行して被害の相談に立ち会い、被害届の受理を求めると、すんなり受理されるということもあります。
本来ですと、相談されるかたが、どのような伝え方としても、相談を受ける側は、その事案を把握して、被害事実を切り取って被害届を受理することが必要なのだと思いますが、実際はそのような対応ばかりではありません。
弁護士が間に入り、捜査を促すべく、事案の中から犯罪と思われる部分を切り取り、その悪質性、危険性を的確に指摘することが効果を発揮することがあります。
犯罪被害に遭い、または、被害が切迫していると恐怖に感じているのに、警察が動いてくれないというご事情を抱えているかたは、ぜひ一度弁護士にご相談ください。
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