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高速道路上で起きたあおり運転により一家4人が死傷したという大変いたましい事件が起きました。
そして、その事件の当時被疑者が勤務する会社として、全く関係のない会社がネット上でさらされ、その無関係の会社は多くの誹謗中傷を受ける被害に遭いました。
先日、この件に関し、ネット上にうその情報を書き込んだとされて捜査対象になった人について、検察が二度目の不起訴処分をしたが、これを受けて検察審査会が改めて起訴議決をしたために強制起訴となると報じられました。
二度目の不起訴処分 そのときどうなる?
実は、この件に関しては、少し前にこちらのエッセイで取り上げたことがあります。
少し整理してみますと、この件では、まず、無関係の会社を、被疑者の勤務会社としてうそを書き込んだとされた11人について、名誉棄損罪で捜査されたのですが、検察庁は、全員を不起訴にしました。
この不起訴処分に納得できないとした会社が、そのうち9人に関し、検察審査会申立てをしたところ、9人全員について「起訴相当」という議決が出ました。
この起訴相当議決を受けて、検察庁は、9人のうち6人については、起訴または略式罰金とする一方、3人については不起訴と判断していました。
つまり申立てがされたうちの3人については、2度目の不起訴処分がなされたのです。
もし、検察審査会が最初にした議決が「不起訴不当」という議決であれば、その後検察が2度目の不起訴処分をしたとしても、それで終わりとなってしまいます。
もう一度検察審査会に申立てをすることもできません。
このことは、検察審査会法にも定められています。
ですが、今回のように、検察審査会が最初にした議決が「起訴相当」議決であれば、検察官が二度目の不起訴処分をした場合、改めて検察審査会が審査することとなっており、審査の結果、起訴すべきと議決すれば、起訴議決の議決書の謄本の送付を受けた地方裁判所が、検察官の職務を行う弁護士を指定し、この指定弁護士が、検察官に代わって起訴することになります。
私自身、被害者のかたの代理人として検察審査会申立てをする機会もありますが、起訴相当議決を得た経験はありません。
いったん検察官が不起訴とした事件について、起訴相当という議決を得ることにはとても高いハードルがあります。
不起訴不当議決を得ることはあるのですが、不起訴不当議決は、起訴相当議決と違い、検察が二度にわたり不起訴としてもそれでおしまい、となってしまうこともあり、再捜査により起訴されるという可能性はあまり期待できません。
せっかく、検察審査会で時間をかけて審査していただいても、検察がその後どういった再捜査をし、具体的にどのような検討過程で再び不起訴という判断をしたのかということの十分な説明を受けることもできないことが多いように思います。
さらに、今回の件のように、強制起訴になったとしても、結局刑事裁判で無罪判決が言い渡される例は多くあります。
検察が不起訴とした事件についても、国民の感覚に照らすとそれはおかしいだろうと考えるものについて、その民意を反映して刑事裁判の機会が得られることに一定の意義はあるとしてもそれが結局無罪になってしまうのだとしたら、検察審査会の制度にどれだけの意味があるのかとも思えてしまいます。
弁護士の立場としては、まずは、現状の制度を最大限利用し、被害者のかたやご遺族のかたが、あとで振り返ったとき、できる限りの手段を尽くしたという思いを持って頂けるよう全力を尽くさなければならないと思っています。
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