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最近、中高生を誘拐したとして被疑者が逮捕されるという報道をよく目にします。
その中には、SNSで知り合い、待ち合わせ場所を決めた上で会い、その後、未成年者を自宅に住まわせたり、一緒にホテルに宿泊したりしていたところ、家族や宿泊先ホテルからの通報で発覚したという内容のものもあります。
そして、それぞれの件で、被疑者は、未成年者誘拐の被疑事実で逮捕されているようです。
報道されている事件では、未成年者と被疑者との間に具体的にどのようなやりとりがあったのか、真相はわかりません。
ですので、これらの件を離れて、ということにはなりますが、仮に、未成年者自身も家出後の宿泊先を探しており、被疑者が、無理やり未成年者を自宅に連れて行ったりホテルに宿泊させたりしたわけではなかったというケースで、それが「誘拐」といえるのか?と違和感のあるかたもいらっしゃるのではないでしょうか。
「誘拐」というと、本人がいやがっているのに、無理やり車に押し込めて連れ去る、というようなイメージがあるのではないかと思います。
実際、未成年者が自ら家出してきた事案で、被疑者が、「たしかに泊めていたが、誘拐はしていない」と供述することもよくあるのです。
未成年者誘拐罪は、保護者の監護権も保護しようとするもの
刑法では、未成年者を「略取(りゃくしゅ)」し、または「誘拐」することを犯罪としています。
「略取」も「誘拐」も、未成年者を、保護者の保護状態から離脱させて自分や第三者の支配下に置くという犯罪という点で同じなのですが、支配下に置くための手段が違います。
「略取」は暴行脅迫を手段とする行為であるのに対し、「誘拐」はだましたり、誘惑したりすることを手段とする行為です。
誘惑とは、うまいことを言って心を惑わす、という意味ですから、判断する能力が未熟な未成年者に、うまいことを言って惑わし、自分の支配下に置く、という行為は、仮に、未成年者がそのこと自体を反対していないとしても、未成年者誘拐罪に当たり得るのです。
しかも、未成年者誘拐罪は、保護者の監護権をも保護すべき法益として守ろうとしていると考えられています。
この意味でも「未成年者は嫌がっていませんでした」と言っても、犯罪の不成立には結び付かないのです。
最近、コロナの影響で、自粛生活を余儀なくされていた中、自宅に居場所がないと感じて家出を考え、SNSで、しばらく泊めてくれる相手を探す未成年者の存在が問題として取り上げられた報道を見たことがあります。
このような中で、未成年者が性被害等にあう懸念も高まっています。
少しずつ、学校も再開し、外出の機会も増え、自粛中とは状況は変わっているとはいえ、学校でも家庭でも、大人たちが自粛後の生活に対応することで精いっぱいになっている中、子どもたちの気持ちに気付きにくい環境があるかもしれません。
弁護士会や自治体によっては、子どものための悩みごと電話相談などのホットラインもあります。
子どもが、学校や家庭以外にも、信頼できる窓口にアクセスできる環境を整え、周知される必要があると思います。
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