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先日、事故を起こしたものの警察署に申告せずにその場から逃げたとして男性が出頭したのですが、その後、実は、その事故を起こし、現場から逃げたのは、出頭した男性ではなく、その男性の子であったことが発覚したとして、最初に出頭した男性の子が道路交通法違反の被疑事実で逮捕されたと報じられました。
つまり、子が事故を起こしたと知った父が、自分が事故を起こしたと申告して身代わり出頭したというのです。
報道によれば、子が帰宅したとき、酒のにおいがしたため、父が身代わりになろうと考えたとのこと。
この件は、今後捜査が進んでいきますが、交通事故でその場から立ち去ってしまったという人が、立ち去った後、家族や知人にその事情を話し、家族や知人らが身代わり出頭するということが過去にも複数報じられたことがあります。
身代わり出頭した人というのは、実際は、事故を起こしたわけではありませんから、身代わりが発覚したとしても、その人については犯罪が成立しないのではないかと思うかたもいるかもしれません。
でも、身代わり出頭はそれ自体が犯罪になり得ます。
犯人隠避罪が成立する可能性があるのです。
犯人隠避罪とは?
犯人隠避罪とは、罰金以上の刑にあたる罪を犯した者や拘禁中に逃走した者を隠避させる犯罪です。
隠避というのは、かくまう以外の方法で、犯人の逮捕や発見を邪魔するような行為すべてを言います。
自分が真犯人ではないのに、真犯人の発覚を邪魔するために自分が犯人だと身代わり出頭することも、この「隠避」にあたるのです。
なぜ身代わり出頭が犯罪になるかというと、捜査機関による捜査が妨害され、事実の解明が困難になるからです。
たとえば、酒気帯び運転で事故を起こし、その場から逃走したという場合、身代わり出頭がなければ速やかに真犯人の検挙にたどり着け、酒気帯び運転と事故の不申告の事実で捜査を進められたかもしれなのに、身代わり出頭があったために、捜査が攪乱され、真犯人にたどり着くタイミングが遅くなり、結果、たどり着いたときにはすでに真犯人の呼気からアルコールの検出ができなくなっていた、ということもあり得ます。
そして、真犯人が、自分の代わりに身代わり出頭してくれと他人に頼み、これによって他人が身代わり出頭したという場合には、真犯人のほうも、すでに犯した事実以外に、身代わり出頭させたことについて犯人隠避の教唆(きょうさ)の罪が成立する可能性があるのです。
家族が身代わり出頭したときには刑が免除される可能性も
身代わり出頭をすれば犯人隠避罪が成立し得るのですが、法律で、犯人の親族が、犯人の利益のために犯人を隠避した場合には刑を免除することができるとされています。
法律上、親族というのは、6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族を指します。
親族間では、親族の犯罪の発覚を隠そうという心情が働きやすく、その意味で、発覚を隠そうする行為もやむを得ない面があるだろうと考えられるからです。
ですので、親が子の犯罪の発覚を防ごうと自ら身代わり出頭した場合、犯人隠避罪が成立し得るのですが、刑は免除されることがあります。
冒頭に挙げた、親が子の身代わり出頭をしたという件においても、この刑の免除に関する規定があることを踏まえ、身代わり出頭が捜査に与えた影響などを検討し、犯人隠避罪について起訴しない(起訴猶予)という判断をする可能性もあるのではないかと思います。
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