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先日、男性が、ひきこもり支援をうたう業者によって、自宅を無理矢理連れ出されて寮に監禁されたとして、業者の代表者などを、暴行罪や逮捕監禁致傷罪などで刑事告訴したと報じられました。
男性の弁護団が、被害に遭った男性の両親が、子である男性の経済的自立を求めて業者に相談し、男性の社会復帰に関するサポート等の費用として700万円を払ったと説明しているということも報じられていました。
この件については、まだ、警察署が刑事告訴を受理したという段階です。
今後、警察、検察による捜査が進んでいく中で事実が解明されていくことになるので、今はまだ何があったのかはわかりません。
ですので、いったんこの件からは離れますが、ひきこもり支援を目的として掲げる民間事業者の利用をめぐってはトラブルが相次いでいるようです。
消費者庁の注意喚起
消費者庁は、「ひきこもり支援を目的として掲げる民間事業の利用をめぐる消費者トラブルにご注意ください!」として、ホームページで注意喚起のお知らせをしています。
対応が事前の説明を異なっていたとか、途中で契約を解約することができないなどのトラブルがあるとのこと。
消費者庁は、そのようなトラブルに遭遇したときは、「消費者ホットライン」(局番なしの188)に相談するよう勧めています。
国も実態調査へ
みなさん、8050問題という言葉、聞いたことはありますか?
80代の親が50代の子の生活を支えるという問題なのですが、この背景に、子のひきこもりの問題があります。
数年前になりますが、アパートの一室で80代の母親と50代の娘が、栄養失調により衰弱死しているのが発見されたと報じられました。
娘は長年ひきこもりの状態で、高齢の母が娘のお世話をしていたところ、母親が亡くなり、そのしばらく後に娘が亡くなっていたことが判明したそうです。
この家庭では、福祉によるサポートなどは受けていなかったと見られているとのこと。
この報道を見たとき、胸がつぶれる思いがしました。
「なぜ、このお母さんも娘もだれかに助けを求めなかったの?」とも思いました。
助けを求めたけれど、助けてくれる人がいなかったのか?
それとも、どこに助けを求めていいのかわからなかったのか?
気付いたら疲れ果ててしまっていて、助けを求めようという気力すらわかなかったのか?
まだ、本人や家族の気力が残っているうちに、気軽に相談できる適切な窓口があって、そのことが広く認知されていれば、そして、その後も適切なサポートがなされていればと思います。
そして、問題の渦中にいる家族以外の周囲の人たちが、「あの家族は助けを必要としているのではないか」と察知したときに、気軽にその情報を寄せて公的サポートにつなげるためのシステムがあって、そのようなシステムの存在が周知されていればとも思います。
冒頭に挙げた刑事告訴の件については、まだ実態がわかりませんが、もし、告訴されている内容が事実であれば、やはり問題の根っこには、ひきこもりで悩む家族が、適切な、信頼できるサポートを受けるための公的な体制の不備があると思います。
先日、厚生労働省が、2015年4月に始まった生活困窮者自立支援制度で相談や支援をした世帯について、実態をどう把握していくか、それを踏まえてどう支援していくかを調査研究していくと発表しました。
ひきこもりが長期化し、日々子の将来を不安に思うご高齢のかたがいること、特に、そのような家族が長引くコロナによる自粛生活の中でこれまで以上に内にこもりがちであろうことを思うと、その調査や検討が迅速に行われるとともに、問題を抱える家族のみならず、周囲にいる人からも、助けを必要としている家族の実態について、より積極的な情報提供が進むための仕組作り、そのような情報提供を、適切なサポートに結び付けていく体制作りが急務であると思います。
最後になりますが、ひきこもり支援をめぐり業者とトラブルになった、心配事がある、という場合は、消費者庁の案内するホットラインに加え、弁護士にもお気軽にご相談ください。
お伺いした事情により、弁護士が、これは、すぐに業者に連絡し、解約すべき事案なのか、業者に、何らかのお金を請求すべき事案なのか、すぐに警察に相談して被害申告をすべき事案なのか、などについて検討し、ご提案することができると思います。
「これは弁護士に相談するようなケースなのか?」とご自身で迷う前に、お気軽に法律事務所にお電話ください。
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