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FXで生じた顧客の損失を補てんしたとして、3月30日、東京地方裁判所で、証券会社やその代表者に有罪判決が言い渡されました。
「顧客の損失を補てんしてあげたことが犯罪になるの?」と思うかたもいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は、「金融商品取引法」をとりあげます。
金融商品取引法とは?
今、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で株価が急落しているという動きの中、新たに積み立て投資を始める人が増えているなどという報道を目にします。
このような株式、投資信託などといった金融商品に関わる法律が金融商品取引法です。
金融商品が活発に取引されることは、経済の発展に貢献するという側面があります。
しかし、それは、その取引が健全であることが前提となります。
たとえば、金融商品の取引をするにあたって、購入しようとする商品について正しく説明を受ける機会がなかったらどうでしょう?
顧客は、正しい情報をもとにしたリスクの判断ができず、思いがけない損をしてしまうかもしれません。
そのような取引が横行していたら、こわくてだれも金融商品の取引をしなくなりますよね。
そこで、あらかじめ、金融商品の販売や勧誘などについてのルールを決めることで、国民経済の健全な発展と投資者の保護を図ろうとしているのが金融商品取引法なのです。
損失補てんは禁止!損失補てんを要求することも禁止!
金融商品取引法では、いろいろなルールが定められていますが、その中のひとつが、損失補てんの禁止です。
損失補てんとは、金融商品の取引で損をした顧客に対して、証券会社が現金などでその損の穴埋めをしてあげることです。
一見、顧客に対して親切な行為に思えませんか?
でも、これは犯罪です。
法律で、3年以下の懲役、300万円以下の罰金という刑罰が法定刑として定められています(法人に対してはより重い罰金刑が定められています)。
では、なぜ、損失補てんが禁止されるのでしょうか?
それは、証券会社が、一部顧客の損失を補てんしてしまうと、取引が公平でなくなってしまうからです。
ほかの顧客からすると、そんな不公平なことが行われるなら、投資をしたくない、と考えてしまいますよね。
金融商品取引が公平、健全に行われているという信頼がなくなってしまえば、金融商品の取引をしようという人はいなくなってしまうでしょう。
このような理由で、証券会社は、顧客の被った損失の穴埋めをしてはいけないし、顧客も、損失の穴埋めを要求してはいけないルールになっており、このルールに違反すればいずれも犯罪になり、厳しい処罰が定められているのです。
今回の判決でも、裁判官は、会社に対して罰金3000万円の判決を、会社の元代表者に対しては懲役1年2月、執行猶予3年の判決をそれぞれ言い渡しました。
証券会社とのトラブルは専門機関に相談を
証券会社が顧客に商品を販売するにあたって、不当な行為があって、それによって顧客が損失を被ったという場合にも、顧客は証券会社に損失の補てんを求めることはできないのでしょうか?
この点は、法律で禁止されている損失補てんの禁止とは別に考えることができます。
証券会社の行為がどのようなものだったかによりますが、その証券会社が事故確認を行い、金融庁がこれを認めた場合には、その証券会社が顧客に与えた損失を補てんすることが法律に違反しないものとされています。
どのような主張ができるかについては、個別の事案によります。
証券会社との間でトラブルになった場合は、弁護士などに相談したり、日本証券業協会の証券・金融商品あっせん相談に相談したりするなど、早めに専門機関に相談してみることをお勧めします。
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