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先日、お休みの日に、近所の書店を見て回っていたのですが、レジ近くにあるコーナーが設けられていて、思わず足をとめました。
どの本にも、タイトルや帯に「免疫を高める食事」「命を守る食「寿命を延ばす」など書かれており、それらがレジの近くの目につきやすい一角にまとめて展示されていたのです。
特にポップなどは書かれていなかったのですが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、どんな食事をしたら免疫を高めることができるのかと思い、ついつい置かれていた本に手をのばしました。
スーパーに行ったときには、さつまいも、パプリカ、白菜などの野菜に値札以外のポップがつけられていて、「免疫を高めます!」などと書かれているのも見ました。
こちらも、ついつい、「じゃあ、さつまいもとパプリカと白菜を使ったメニューにしようかな」と手を伸ばしてしまいました。
新型コロナウイルスの感染拡大が連日のように報じられている今、皆さまにも、何かにすがりたくなってしまうご経験、ありませんか?
そのような中、先日、「タンポポのお茶が新型コロナウイルスの予防に効く」と店頭で宣伝したとして、大阪府警が、大阪市内の薬局を、医薬品医療機器法(薬機法)違反の疑いで捜索したという報道がありました。
「医薬品医療機器法」という法律は、普段なかなか聞きなれない法律だと思います。
今回は、このような宣伝が法的にどのような点で問題になるのか?ということを考えてみます。
未承認医薬品の広告禁止
医薬品医療機器法、いわゆる薬機法では、医薬品等の製造販売をしようとする者は、医薬品について、品目ごとにその製造販売についての厚生労働大臣の承認を受けなければならないとし、その承認を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果または性能に関する広告をしてはならないと定められています。
このような法律が定められているのは医薬品の広告が適正を欠いた場合には、国民の保健衛生上、大きな影響を与えることがあるためです。
今回、警察は、捜索に入った薬局が、医薬品として承認を受けていないタンポポ茶を、新型コロナウイルス予防に効果があると宣伝したことが、未承認医薬品の広告禁止の規定に違反する疑いがあると考え、捜索に踏み切ったのだとみられており、今後の捜査の進捗が注目されます。
景品表示法・健康増進法との関係で問題となる事案も発生
消費者庁は、3月10日、そのホームページで、「新型コロナウイルスに対する予防効果を標ぼうする商品の表示に関する改善要請等及び一般消費者への注意喚起について」と題するニュースリリースを出しました。
このニュースリリースによれば、新型コロナウイルスの拡大に乗じ、インターネット広告で、新型コロナウイルスに対する予防効果をうたう健康食品、マイナスイオン発生器、空間除菌商品等が複数見られたので、消費者庁は、その表示を行っている事業者等に、緊急に改善要請を行ったとのことです。
新型コロナウイルスについては、その性状や特性が必ずしも明らかと言えず、民間施設における試験の実施も不可能な現状です。
にもかかわらず、このようなウイルスに対する予防効果をうたう予防商品については、現段階で客観性、合理性を欠くとして、消費者の商品選択に著しく誤認を与え、このことは、景品表示法及び健康増進法に違反するおそれが高いと判断されたことが緊急の要請につながったようです。
消費者庁は、引き続き、不当表示を継続的に関し、法に基づく措置を講じていくとしています。
収束の見えないウイルスへの恐怖から、わらにもすがりたいという気持ちの消費者心理に乗じた広告については、今後、消費者庁も、警察も、厳しい対応をとるものと見込まれ、その動きが注目されます。
一方、一消費者としては、私自身も、冷静に商品選択をしていく姿勢が必要だと改めて感じました。
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