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いじめ予防授業
私は、弁護士として、小中学校に行き、いじめ予防授業の講師を務めることがあります。
どんなに忙しかったとしても、この仕事だけは少しずつでも続けていきたいと思って大事にしているものです。
先日、ある小学校の4年生に、いじめ予防授業をしてきました。
そこでお話ししたことを少し取り上げてみたいと思います。
その日、私がお話ししたことの1つが、「悪気のない言葉が相手を追い込んでしまう可能性」についてでした。
言葉を発した本人は、決して悪気がなく、相手を傷つけてやろうなんて気持ちがなくても、相手が追い込まれたり、傷ついたりしてしまうことがあるという話をしていたのです。
その話をしていたとき、突然気づいたことがありました。
それは、小学生時代の私も決して無関係じゃなかったということ。
私は、小学校高学年になったころには、すっかり学級委員キャラになっていました。
クラスで、ちょっとしたルール違反をしている子を見つけるや否やすっ飛んで行って、「ちょっと!そんなことしたら危ないでしょ?!」などと注意するのです。
今考えると、完全に余計なお世話。
思い出すだけで、恥ずかしさで顔が赤くなります。
でも、当時の私は、学級委員長としての使命感でいっぱいで、なんやかんや注意したり指摘したりするようなことをしばしばやっていたんです。
そして、そんなことをしていると、私の周りにほかの子も集まってきて、「そうだよ。やめなよ」「先生がダメって言ってたじゃない」「なんでみんなに迷惑かけるの?」なんて口々に言い出すのです。
相手も感情的になって「だまれ!」なんて言い出し、最終的には先生にその場を収めてもらうのです。
この記憶、ふだんは思い出すこともありませんでした。
ただ、先日、子どもたちに授業をしていたとき、突然このときのことを思い出しました。
私には、相手を傷つけてやろうなんていう考えはなく、正義感のようなものを抱いてあれこれ注意したり指摘したりしていたんだと思います。
でも、言われていたあの子はいったいどういう気持ちだったかなと思ったのです。
クラスの子たちが複数いる中で大声で指摘され、さらには周りに集まった子たちからも口々に指摘されている中で、自分が大人数から責められていると感じ、恐怖や恥ずかしい気持ちを抱くこともあったかもしれない。
もしかしたら、私から見たら「ルール違反」と思えたことでも、その子は単にルールを知らなかっただけかもしれないし、ルールを守ろうとしても、守れない事情があったのかもしれない。
ふざけてルール違反したことをすぐに後悔してやめようとしていた、他人から大声で指摘されたことで、引くに引けなくなってしまったのかもしれない。
それなのに、そんな相手の抱えているかもしれない事情を想像しようともしないで、自分の薄っぺらい正義感のようなものを振りかざして、一方的にみんなの前で注意するような行動に出たことが、他にも同じように行動する子を生み、相手の子を追い詰めてしまったことがあったかもしれない、と思い至ったのです。
本当は別の事例をお話しようと思っていたのですが、突然思い出してしまったその記憶をどうにも頭の中からどけることができず、思わず、子どもたちに、「今ね、私が小学生のころのこと、突然思い出しちゃった。私がしていたこういう行動って、私は全然悪気がなかったけど、相手の子を追い詰めてしまったかもしれないよね」という話をぽつぽつとしてみました。
そして、「当時、私はどうしたらよかったんだろうな」って問いかけると、子どもたちは一生懸命考えてくれました。
「優しい言葉で言えばよかったんじゃない?」
「あとで、他の人がいないところで言ってあげたらよかったのかな」
「先生に相談したらよかったんだよ」
いろいろな考えを聴かせてくれました。
なるほど。
たしかに、そうだよな、と思いました。
私は、「先生」なんていう立場で授業に臨んでいましたが、まだまだ「いじめ」というものを十分に理解できていなかったなと思いました。
子どもたちからたくさんのことを教えてもらいました。
「いじめ」とは何なのか、どうしたら傷ついてしまう子を一人でもなくしていくことができるのか、改めてじっくり考えなくてはいけないなと思いました。
弁護士は、小中学校や子どもたちが集まるコミュニティに出張していじめを始めとする法教育の授業をすることができます。
各学校、コミュニティの課題をあらかじめお伺いした上で授業の内容をカスタマイズしますので、お気軽にお問合せくださいね。
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