未成年淫行をしてしまった場合、前科が付くのか、逮捕されるのかなど不安に感じることかと思います。
未成年淫行は法令で規制されており、行うと逮捕されて前科が付く可能性があります。
では、未成年淫行をするとどのような罪に該当する可能性があるでしょうか?
今回は、未成年淫行について弁護士が詳しく解説します。
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未成年淫行とは
はじめに、未成年淫行の定義を確認します。
未成年とは
未成年とは、満18歳の誕生日を迎えていない人を指します。
以前は20歳未満の人が未成年とされていましたが、2022年4月1日に施行された改正法により18歳未満の人とされました。
未成年淫行とは
未成年淫行とは、未成年者と「淫行」をすることです。
法令に「淫行」の定義の記載はないものの、「淫行とは、広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきではなく、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為」を指すとされた判例があります(最高裁昭和60年10月23日判決)。
これによると、次のいずれかにあたるものが「淫行」となります。
- 青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為
- 青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為
なお、「性交」のみならず「性交類似行為」も淫行にあたるとされていることから、口腔性交や手淫であることなどを理由に、 淫行でないと主張することはできません。
未成年淫行が該当し得る罪と罰則
未成年淫行をすると、どのような罪に該当する可能性があるのでしょうか?
該当し得る主な罪は次のとおりです。
青少年健全育成条例違反
青少年健全育成条例(通称「淫行条例」)とは、青少年を保護し健全な育成に寄与することを目的として各都道府県が制定している条例です。
青少年育成条例では、満18歳未満の者を青少年と定義していることが一般的です。
青少年健全育成条例の内容は都道府県によって異なるものの、その多くは未成年淫行を規制しており、一定の罰則を設けています。
たとえば、「東京都青少年の健全な育成に関する条例」では、その18条の6で「何人も、青少年とみだらな性交又は性交類似行為を行つてはならない」と定めており、これに違反した者は2年以下の懲役または100万円以下の罰金に処するとされています(東京都青少年の健全な育成に関する条例18条の6、同24条の3)。
児童福祉法違反
児童福祉法とは、児童の心身の健やかな成長や発達を目的とする法律です。
児童福祉法上の「児童」とは、満18歳未満の者を指します。
児童福祉法では児童に淫行をさせる行為を禁じており、これに違反した場合は10年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金またはこれらの併科に処される可能性があります(児童福祉法34条1項6号、同60条1項)
児童買春・児童ポルノ禁止法違反
児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(通称「児童買春・児童ポルノ禁止法」)とは、児童買春や児童ポルノを規制し児童の権利を擁護することを目的とする法律です。
児童買春・児童ポルノ禁止法の「児童」とは、満18歳未満の者を指します。
児童買春とは対償を供与しまたはその供与の約束をして性交等をすることを指し、児童買春をした場合は5年以下の懲役または300万円以下の罰金に処されます(児童買春・児童ポルノ禁止法2条、4条)。
不同意性交等罪
不同意性交等罪は、刑法177条に規定されている罪です。※1
以前「強制性交罪」であったものが、改正により2023年7月13日から不同意性交等罪へと改められました。
次のいずれかによって性交等をした場合、相手の年齢に関わらず不同意性交等罪に該当する可能性があります。
- 次のいずれかを原因として同意しない意思を形成したり表明したりすることを困難な状態にさせることや、相手がそのような状態にあることに乗じること
a.暴行または脅迫
b.心身の障害
c.アルコールまたは薬物の影響
d.睡眠その他の意識不明瞭
e.同意しない意思の形成や表明とするいとまの不存在(いわゆる「不意打ち」)
f.予想と異なる事態との直面に起因する恐怖や驚愕(いわゆる「フリーズ状態」)
g.虐待に起因する心理的反応
h.経済的または社会的関係上の地位に基づく影響量による不利益の憂慮 - わいせつな行為ではないと誤信させたり人違いをさせたりすること、または相手がそのような誤信をしていることに乗じること
- 相手が13歳未満である場合
- 相手が13歳以上16歳未満であり、行為者が5歳以上年長である場合
これらに該当しない場合であっても、次のいずれかに該当する場合は不同意性交等罪が成立します。
不同意性交等罪を犯した場合は、5年以上の有期拘禁刑に処されます。
また、性交等には至らなくともわいせつな行為をした場合は「不同意わいせつ罪」に該当し、6か月以上10年以下の拘禁刑に処されます。
【年齢別】未成年淫行への該当の有無
先ほど解説したように、未成年淫行や不同意性交等罪へ該当するかどうかは、相手や自分の年齢によって異なります。
これをまとめると次のとおりとなります。
相手が13歳未満である場合
相手が13歳未満である場合、たとえ暴力などを用いず相手が同意をしていたとしても、未成年淫行として不同意性交罪に該当します。
13歳未満である場合、性交等について有効に同意ができないと考えられるためです。
つまり、相手が13歳未満である場合は、性交等が適法となることはありません。
相手が13歳以上16歳未満で行為者が5歳以上年長の場合
相手が13歳以上16歳未満であっても、行為者が相手より5歳以上年長である場合は、たとえ暴力などを用いず相手が同意をしていたとしても、未成年淫行として不同意性交罪に該当します。
相手が13歳以上16歳未満で行為者との年齢差が5歳未満である場合
相手が13歳以上16歳未満であり、相手と行為者との年齢差が5歳未満である場合、暴力等を用いて性交等に及んだ場合は不同意性交等罪に該当します。
一方、真剣に交際をしており暴力等を用いて性交等に及んだのではない場合は、不同意性交等罪には該当しません。
ただし、未成年淫行として青少年健全育成条例違反などに該当する可能性はあります。
相手が16歳または17歳である場合
相手が16歳または17歳である場合は、暴力等を用いて性交等に及んだ場合は不同意性交等罪に該当します。
一方、真剣に交際しており、暴力等を用いて性交等に及んだのではない場合は不同意性交等罪には該当しません。
ただし、未成年淫行として青少年健全育成条例違反などに該当する可能性はあります。
未成年淫行で逮捕されるとどうなる?
未成年淫行で逮捕されると、どうなるのでしょうか?
逮捕後の一般的な流れは次のとおりです。
逮捕される
淫行が発覚すると逮捕される可能性があります。
淫行が発覚する理由はさまざまですが、たとえば被害に遭った未成年者やその家族が警察に通報するケースのほか、未成年者が補導されたことでスマートフォンの履歴から発覚するケースなどが考えられます。
なお、逮捕されることと有罪となることは、必ずしもイコールではありません。
逮捕とは、逃亡や証拠隠滅の恐れがある場合において捜査機関が身柄の拘束をすることです。
そのため、逃亡や証拠隠滅の恐れがないと判断されれば、逮捕されずに捜査がされることもあります。
送致される
送致とは、警察が捜査した事件を検察官に引き継ぐことです。
逮捕後は警察の取り調べを受け、48時間以内に検察官へ送致されます。
検察で勾留される
送致されると、そこから24時間以内に裁判所に勾留請求がなされ、身体拘束の必要があると判断されると裁判所から勾留が許可されます。
その後は、原則として10日間検察によって勾留され、検察による捜査が行われます。
必要に応じて勾留が延長される
やむを得ない場合検察官からの請求によって、さらに10日間の勾留がなされます。
そのため、逮捕から最大23日間身体拘束が続く可能性があります。
起訴・不起訴が決まる
検察の判断によって、起訴か不起訴かが決まります。
起訴とは、事件を刑事裁判にかけることです。
起訴=有罪ではないものの、起訴がされると99%以上の確率で有罪判決が下る(つまり、前科が付く)といわれています。
一方で、不起訴との判断がされた場合は刑事裁判が開かれず、事実上罪を問われないことに なります。
刑事裁判が開かれ刑が確定する
起訴されると、刑事裁判が開かれて刑が確定します。
この刑事裁判によって有罪判決が確定すると、前科がつくこととなります。
未成年淫行を弁護士に相談する主なメリット
未成年淫行をしてしまった場合は、早期に弁護士へご相談ください。
未成年淫行について弁護士へ相談する主なメリットは次のとおりです。
逮捕や勾留を避けられる可能性が生じる
1つ目は、逮捕や勾留を避けられる可能性が生じることです。
逮捕や勾留がされると長期にわたって出社が難しくなるため、これにより会社などに事件が知られる可能性があります。
弁護士へ相談することで、逮捕の必要がない(逃走や証拠隠滅の恐れがない)ことを弁護士から捜査機関に訴えることで、逮捕や勾留を避けられる可能性が出てきます 。
逮捕されてしまった場合の対応についてもアドバイスを受けることが可能です。
示談により不起訴となる可能性が生じる
示談とは、被害者と交渉をしてトラブルの解決を図る手続きです。
未成年淫行など刑事事件の場合、弁護士が間に入って示談交渉を行い、加害者が被害者に示談金を支払ったうえで謝罪をして被害者から宥恕(許し)を受けることを目指します。
実際には、示談金の支払いと引き換えに「刑事処罰を求めない」旨の書類に署名をもらうなどの対応をすることが一般的です。
示談は、あくまでも民事上の話です。
ただし、実際には被害者との示談が成立しており被害者が宥恕(ゆうじょ)している場合、刑事上も不起訴となることが少なくありません。
不起訴となった場合は未成年淫行の罪に問われず前科もつかないため、加害者としては示談を目指すことが基本となります。
ただし、被害者の連絡先等を知らない場合、加害者本人が被害者の連絡先を知ることはできません。弁護士であれば、捜査機関に対して示談の申し入れを行い、被害者の了承が得られれば、捜査機関から被害者の連絡先等を教えてもらうことができます。
また、未成年淫行の場合に当事者同士で示談をまとめることは困難であるうえ、不用意に示談を求めるとトラブルが大きくなるリスクも否定できません。
そのため、示談を求める際は弁護士に依頼して代理してもらうことが成功のポイントです。
まとめ
未成年淫行の罪は、決して軽いものではありません。
もし未成年淫行をしてしまったら、対応について早期に弁護士へご相談ください。
具体的な事案を踏まえ、逮捕される可能性や有罪判決が下る可能性があるのかなどについて弁護士が親身にアドバイスしてくれます。
また、弁護士のサポートを受けることで、未成年者淫行が発覚しても逮捕される可能性を引き下げることができるほか、示談をまとめて不起訴となる可能性を高めることにつながるためです。
Authense法律事務所では、未成年淫行など性犯罪の解決に力を入れています。
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