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5歳児保護責任者遺棄致死 母親に懲役5年の実刑
以前、こちらでも取り上げた事件です。
裁判所が懲役10年の求刑に対し、懲役5年の実刑判決を言い渡しました。
懲役5年実刑という判決を聞いたとき、どう感じたでしょうか。
子ども一人が苦しみながら亡くなったというあまりにいたましい結果を考えたとき、果たして、判決で言う「被害者としての側面」を考慮すべきなのか?
具体的に「被害者としての側面」と言われているところは、「ママ友らが悪口を言っている」とか「夫が浮気をしている」など数々のうそで経済的に搾取され、心理的に支配され、生活全般を実質的に支配されていたという点であるとのこと。
率直に言って、これを読んだ母の立場のかたの中に、「そんなこと、私の日常にだっていくらでもある。何ならもっと大変なこと、理不尽に思うことなんて山ほどある。それでも、我が子のために、自分が弱気になっている暇なんてないから、歯を食いしばってがんばってるんだ」と思うかたが多くいらっしゃるんじゃないかなと思いました。
正直に言うと、私もそのように感じました。
どんなに苦しくても、自分がおかしくなってしまいそうな絶望と直面しても、それでも、我が子をどんなものからも守るのが母親ってもんだろうって思い、何が被害者としての側面だ、と、よくわからない涙が出ました。
でも、私は、自分の人生しか生きていないから、この被告人の置かれた状況はきっと想像できていないはず。
もちろん、人によって、うけとめられることの重さにも違いもある。
前提となる事実関係もしっかり把握できていない私が、一方的な見方でジャッジすべきでない。
また、事後的に「本当ならこうできたはずじゃないか」と言ったところで何の意味もないのです。
もしかしたら、こういう私のような「母親だったら、どんなに苦しくても歯を食いしばって自分が我が子を守らねばならないんだ」というような発想が、母の立場にある人や自分自身や最終的には子どもをも追い詰めてしまうのかもしれない、とも思うのです。
報道を見ると、この家族に起きていた異変を感じ取っていた方々がいたとのこと。
中には、自分に何かあのときできたことがあったのではないかと心を痛めているかたもいるのではないかと思います。
でも、実際、他人の家庭内に関して感じた違和感をもとに、しかるべき機関に通報したり相談したりすることって、やはりハードルが高いのだとも思います。
そのハードルの高さも問題視されるべきなのかもしれません。
また、報道によると、今回は、そもそも、児童相談所はこの家族に関し、問題意識を持つきっかけ自体はつかめていたとのことで、問題は、そのきっかけを生かせなかったところにあるように思います。
この点も、もしかしたら、きっかけを生かせなかった背景に、何かやむを得ない事情があったのかもしれず、無責任なことは言えません。
いずれにしても、判決が軽すぎるとか、母親ならこうすべきだったとか、そこだけではなく、ではどうしたら次のいたましい事件を阻止することができるのかを具体的に考えなくてはいけないし、日々の業務においても、その視点を持ってクライアントや相談者様としっかり向き合っていきたいと思います。
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