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乱交パーティーって何の犯罪になるの?
ちょっと破廉恥な感じの題材でごめんなさい。
最近、乱交パーティーで逮捕!というニュースが立て続けにありましたよね。
私のような堅物は、正直、どんな世界が繰り広げられているのか、全く想像もつかないのです。
検察官としても、乱交パーティーに関する事件を担当したことはありませんでした。
だから、記事をくまなくチェックすることにより、この世の中には、いろいろな嗜好の人がいるのだな、世の中知ったような気でいたけど、まだまだ知らないことだらけだなと想像を巡らせていました。
もちろん、いろんな世界があるんだなで終わる話ではありません。
犯罪になり得るからです。
たとえば、先日報道された、静岡県のある別荘で開催されていたという120人くらいの男女が参加していたという乱交パーティー。
この件では、パーティーを開催したという疑いで男女が公然わいせつほう助の罪で、また裸で抱き合っていたという男女が公然わいせつ罪でそれぞれ逮捕されたと報じられています。
また、別の報道では、都内のホテルで乱交パーティーを開催した男性が、そのパーティーに高校生の女子を参加させ、また、参加男性と引き合わせたとして児童福祉法違反の罪で逮捕されたと報じられていました。
まず、この2つの事件で、同じく乱交パーティーを開催したのに、逮捕された罪名が違うのはどうしてかというと、後者の例では、高校生を参加させたという事情があったからです。
児童福祉法では、18歳未満の児童に淫行をさせる行為や、児童の心身に有害な影響を与える行為をさせる目的をもって、自己の支配下に置く行為を禁止しています。
これに反する事実が認められたということで、公然わいせつ罪より重い法定刑の児童福祉法違反の事実で捜査されているのです。
一方、公然わいせつ罪で捜査されている件についても少し気になる点があります。
公然わいせつ罪でいう「公然」とはどういう状態を指すのかということです。
というのは、以前、屋外でAV撮影をした事案について、制作会社の社長をはじめとする52人もの人が現場にいたものの、公然性に疑義があるとして起訴されなかったと報じられたケースがあり、その件との比較で考えると、今回の件も、人数こそ多いものの、別荘という閉鎖された空間で行われていたことなのだから、公然性を否定されるという評価があり得るのではないかとも思えるのです。
これは、「公然」をどう考えるかによるのかなと思います。
AV撮影の事例では、人数こそ多かったものの、そのメンバーたちは、制作会社のメンバーというある意味人的な関係性が濃い間柄だったとのこと。
とすると、そのような特定多数の人たちの中で行われた行為が、公然わいせつ罪が保護しようとする社会の善良な性風俗を害するとまではいえないのではないかとも思えます。
一方、今回の件は、いまだ捜査中だと思いますが、報道によれば、人数は120名ほど、しかも、そのメンバーたちは、SNSを通じて集まった人たちで、そこに特定性が認められるような人的関係があったとはいえないと評価でき、そのような中で行われる行為は、善良な性風俗を害するおそれがあると評価できるかもしれません。
公然わいせつ罪が保護しようとしている善良な性風俗という観念自体も、時代によって変遷のあるところだと思いますし、非常にあいまいな概念であるように思いますから、その評価にかなりの幅が生じ得るのではないかと思います。
今回報道された件についてはどう評価されるのか、今後の捜査に注目します。
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