発信者情報開示請求で発信者(プロバイダの契約者の氏名及び住所)を開示
- ご相談者
- 性別:男性
- 職業:経営者
ご相談までの経緯・背景
経営者であるA男さんは、Twitterで自社やA男さん本人が誹謗中傷されていると知ります。
そのアカウントを確認してみると「経営している企業が詐欺行為を行っている」「A男は覚醒剤常習者」といった、根も葉もないことが書かれていました。
さらにはA男さんが取引している大企業のアカウントにも、同内容の中傷をコメントしており、事業への悪影響も出ていました。
解決までの流れ
A男さんは「事業活動への正当な批判やクレームならともかく、事実に反する罵詈雑言は看過できない」「会社としてしっかり対応し、それを公表したい」というご要望で、弊所にご相談にお見えになりました。
Tweetの内容を確認したところ、まったくのでたらめで、誹謗中傷であることは明らかでした。
そのアカウントはA男さんを誹謗中傷することだけを目的としたもので、アカウント名はもちろん、繰り返し行われているTweetも、A男さんに関するものだけという、極めて悪質なものでした。
このケースでは、①Twitter社に発信者情報開示の仮処分、②アクセスプロバイダへの発信者情報開示訴訟の2段階で進めることになります。
Twitter社に発信者の情報(ログイン時のIPアドレスとタイムスタンプ)の開示を求める場合、とにかくスピードが命となります。
Twitter社では発信者の情報を3ヵ月しか保管していません。
そこで、ご依頼をいただいてすぐに仮処分の手続きを開始しました。
無事にTwitter社から開示を受けられましたので、IPアドレスを保持しているプロバイダを調査し、Twitter社より開示を受けたタイムスタンプ記載の時刻にこのIPアドレスを使用した契約者は誰か、プロバイダに確認を取り任意で開示して欲しいと依頼します。
しかし、まずプロバイダは了承してくれませんので、訴訟を提起することになりました。
今回のケースで争点となったのは、ログインした人と投稿を行った人が本当に同一人物なのか、という点でした。
匿名掲示板とは異なり、TwitterはアカウントにIDとパスワードを入力し、ログインすることで書き込みが行えるようになります。
Twitter社から提供されるIPアドレスの情報はログインした際の情報でしかなく、書き込みが行われたと結論づけることはできません。
今回得られたのは、投稿から約2ヵ月後のログイン情報でした。
ログイン情報と投稿との時間差が数分程度ならば、常識的に考えて、ログイン者と書き込みを行った者は同一人物と考えられるでしょう。
しかし、書き込まれた時間とログインした時間に約2ヵ月の時間差がある場合、ログイン者と書き込みを行った者は同一人物でないとする裁判例もあります。
しかし、同様のケースであっても裁判で開示が認められたケースもわずかながらあり、その裁判例を参考に進行していきました。
丁寧に証拠を集め主張を組立て、情報開示するべきであると裁判所が考えるような書面を用意して裁判に臨みました。
その結果無事に情報開示が認められました。
結果・解決ポイント
発信者の情報(プロバイダの契約者の氏名及び住所)が開示されました。
ご依頼をいただいてからは、A男さんにお願いしたのはどのアカウントが何月何日の何時にどのような内容をTweetしていたのか、スクリーンショットで保存してもらうことと、Tweet内でなされている業務に対する投稿が、事実と反する内容であるといえるか否かを、自社内で精査していただくことをお願いしました。
上記のほか裁判手続などはすべて弁護士が対応しています。
発信者情報開示は専門的な分野です。なかなか、一般の方が対処法を理解し、実際に対処するのは難しいと思います。
ですので、インターネット上に悪口を書かれたり、誹謗中傷が行われたりした際には、まずは弁護士にご相談されることをおすすめします。
ログの保存期間の問題もあり、とにかくスピードが要求されます。
悩んでいるよりも、一刻も早く行動を起こさないと間に合わなくなってしまいます。
オーセンスでもご相談をお受けいたしますので、お気軽にご連絡ください。
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