従来、刑事裁判は事件の当事者である被害者を抜きにして進められてきました。そのような裁判に対して、被害者による処罰感情を刑事裁判に反映させて、加害者に適正な刑罰を科すために役立てる制度として、被害者参加制度が設けられました。
この制度によって、一定の重罪の被害を受けた被害者等が、加害者である被告人の刑事手続への参加を希望する場合、証人や被告人への一定の尋問や検察官とは別に独自に論告・求刑できるようになりました。その際、加害者とされた者に対する刑事裁判の手続きに被害者の方々が参加されるときには、当事務所は、被害者参加弁護士として活動し、被害者が直接思いをぶつけるために起きる様々な障壁を、一つずつ取り払っていけるよう努めていきます。
被害者参加弁護士について
被害者参加弁護士は、被害者の意思を十分に尊重して、被害者が望むのであれば、できるだけ被害者自身が質問や尋問、論告求刑ができるようしっかりと脇からサポートしていくことが求められます。そして、被害者参加人が直接行う訴訟活動を、法律専門家の立場から支えていくことに意味があります。
検察官と良く打ち合わせをし、被害者参加人が望むことをしっかりと受け止めて、後悔や疑問が残らないよう、被害者の立場でアドバイスすることが求められているのです。
被害者参加弁護士のメリット
被害者参加弁護士の業務は、①被害者参加に関する活動(検察官へ意見表明・説明要求、公判期日への出席、証人尋問、被告人質問、新設された論告求刑)及び②これと密接に関連する法廷内活動(記録の閲覧謄写、被害者が従来の意見陳述をするためのサポート、被害者参加人が証人となる場合の証人尋問へのサポート等)です。
被害者参加弁護士を利用することで、被害者の目線にたった事件の真相究明が可能となり、被害者の代弁者として、被害者の希望を刑事手続の土俵に載せることができるようになります。裁判官や裁判員に被害の実情、苦しみを直接、生の声で伝えたい、被告人に遺族の声を直接聞いて欲しいといった願いを果たすことができます。